からだ・美容
食べて症状が出ても食物アレルギーではない? 「間違った知識が多い」と指摘するアレルギー
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アレルギー症状が出たら、まずは患部の専門科へ
その場合、いきなりアレルギー専門科を訪れるのではなく、症状が出た部位の専門科を訪れると良いそうです。たとえば蕁麻疹であれば皮膚科(抗ヒスタミン薬)、咳き込みは内科(気管支拡張薬、ステロイド薬)など、症状に応じた専門科で診察してもらい、薬の処方によって症状はゆるやかに改善するといいます。
加えて「抗体検査を受けることが大事」だと指摘します。そのうえで必要があればアレルギー専門科を受診しましょう。ただし、ここでも多くの人が誤解していることとして「反応が出たからといって、すべて口にしてはダメというわけではない」ことを挙げます。
「治療の基本はアレルゲンとなる食べ物を口にしない『除去食』と呼ばれる食事療法ですが、まったく食べなければアレルギー症状が出ないのは当たり前のこと。ですが、目的はあくまでも症状を起こさずに“食べること”であり、除去し続けることではありません。信頼できる専門医の指示のもと、必要最小限の除去にとどめながら治療を継続することが大事です」
しかし、気をつけたいのが、アナフィラキシーが出た場合です。
「症状を即時にやわらげる『エピペン』(アドレナリン自己注射製剤)を使用すればすぐに改善するのですが、まだまだ存在自体を知らない人も多いですし、打つタイミングが遅ければ手遅れになってしまうこともあります」
子どもの頃の食物アレルギーは大人になって治ることも?
子どもに食物アレルギーのような症状が出た場合、どうしたら良いのでしょうか。
「まずは本当にアレルギーなのかどうか、きちんと医師の診断を仰ぐことが大切です。そして食物アレルギーであることがわかったら、一時的にはアレルゲンを口にしないことしかできません。ただ、子どもの場合は、経口負荷試験を行って少しずつアレルゲンに慣らしていく治療法もありますので、まずは専門医に相談すると良いでしょう」
子どもの頃に食物アレルギーだった人が「大きくなって治った」という話を耳にすることがありますが、東田さんいわく「確かに一時的な自然緩解の報告はありますが、30歳を過ぎたくらいからまた発症することもあり、アレルギーは基本的に治ることは非常に少ないです」。
この十数年でアレルギー患者は約2倍に増えているそうで、アレルギー疾患全体でみれば、日本人はいまや2人に1人がなんらかのアレルギー症状を抱えているといいます。意外に知られていないのですが、2014年にアレルギー疾患対策基本法が成立し、各都道府県に拠点病院が選定され、アレルギー疾患医療を推進する役割を担っています。
「拠点病院に相談すれば、間違いなく確実な情報が得られます」
大人も子どもも、アレルギーのような症状が出たら自己判断せずに、まずは医師の診断を仰ぎましょう。症状緩和に努め、周囲の人にしっかりと伝え理解を得ながら、うまくつきあっていきたいですね。
1967年に厚生省所管の財団法人として設立され、国民のアレルギー疾患の克服に向けて、機関誌「アレルギア」の刊行、アレルギー疾患の啓発を促すイベントやアレルギー患者のための講座など、本部と全国の支部を中心にさまざまな取り組みを行っている。
(Hint-Pot編集部・出口 夏奈子)