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公共交通機関なのに変更だらけ 「手を出さない」と決めていたのに…日本人女性がイギリスで自転車通勤を選んだワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

渋滞が多いロンドン市内。バスや車の間を縫うように自転車通勤する人の姿も【写真:Getty Images】
渋滞が多いロンドン市内。バスや車の間を縫うように自転車通勤する人の姿も【写真:Getty Images】

 世界的にも高い評価を受けている、日本の公共交通機関。海外で暮らしていると、サービスの違いに驚くことがあるようです。ひょんなことからイギリスに移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第22回は、ロンドンの交通事情です。

 ◇ ◇ ◇

突然の目的地変更のアナウンス

 さまざまな国で発行されているシティガイド誌「タイムアウト」が2023年に発表した、世界の公共交通機関ランキングで、日本は3位に輝きました。しっかりとしたメンテナンスや効率性、清潔感、そして非日本語圏の利用者にも配慮したサービスが評価されています。

 一方、ロンドンは11位にランクイン。ロンドンのバスや電車は使いやすく、驚くほど効率的。また、ロンドンのアイコンのひとつになっている真っ赤な2階建てバスが愛されていることも理由のようです。

 どちらの都市も世界的にみれば上位なのですが、やはり大きな違いを感じます。前回、ロンドンのバスは日本のように明確な時刻表はなく、待てど暮らせど乗車できないことがあると紹介しました。

 さらに、よく起こるトラブルが、突然の終着駅変更です。バスの最終目的地がいきなり変わったり、途中にある停車駅に到着した途端、「このバスはここで停まります。乗客のみなさんは速やかに降りてください」とアナウンスが流れて全員一斉に降ろされてしまったりします。

 少し前にアナウンスがあるならまだしも、ようやく乗れたと思ったら、また新たな問題が降りかかってくる。そんな不安定なサービスに、日本での暮らしが長い人は驚いてしまうかもしれません。時間とともに慣れてくる部分もありますが、やはりこれが毎回続いたり、急いでいるときに起きたりするとストレスが半端じゃないですよね。

出発時刻が迫るまでわからないプラットフォーム

最後の最後までわからないプラットフォーム【写真:Moyo】
最後の最後までわからないプラットフォーム【写真:Moyo】

 突然の変更に困るのは、電車も例外ではありません。日本では、駅に着くと1~2時間くらい先までの新幹線や在来線の発着プラットフォームを掲示板で(今は電車検索アプリでも)確認できますよね。そのプラットフォームが変更されることはめったにないはずです。

 しかし、ここヨーロッパでは事情がまったく違います。旅行などで都市間や国外へ移動するのに、ヨーロッパの中長距離電車を利用したことがある人は何度か経験があるかもしれませんが、プラットフォームの番号が発車5分前くらいにならないとわかりません。しかも、これが一般的なのです。

 国をまたぐ長距離列車はさすがに……と思うかもしれませんが、まったくおかまいなし。1時間に1~2本出ている中距離列車から、数時間に1本しか走っていない列車まで、どれもこれも最後の最後までどのプラットフォームに行けばいいかわかりません。

 そのため、時刻表の前にはいつもたくさんの人だかりができており、電車のプラットフォーム番号が表示された瞬間、多くの人が間に合うように早足で、もしくは走り去っていきます。一本でも乗り遅れたら尋常じゃない被害をこうむるので、みんな必死です。