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公共交通機関なのに変更だらけ 「手を出さない」と決めていたのに…日本人女性がイギリスで自転車通勤を選んだワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

運転の荒さは仕方ない?

 そのほかにも、日本の公共交通機関ではなかなかめぐり合わない経験といえば、バスの運転手さんたちの運転の荒さでしょうか。

 ロンドンはとにかく交通マナーがカオス。無茶な運転をするオートバイ、割り込みや無理やり追い越ししてくる自転車などの数が多く、乗っているこっちがひやひやする場面に遭遇します。

 そんな道路を運転しなくてはいけないため、けっこうな頻度で「運転が荒いな」と思うことがあります。急ブレーキ、急発進とまではいかなくとも、揺れる揺れる。日本のバスに久しぶりに乗ると、その静かさと安定した走りにほっとします。

意外にいける自転車通勤

 このようなトラブルが日常的なので、ロンドンでは自転車通勤が盛んです。ロンドン中心部は渋滞が多く、車の平均速度は馬車よりも遅いといわれています。朝の通勤時間は、常に遅れていて我慢の限界のダブルデッカーバス、イラつく自動車、我が道をいくオートバイ、その渋滞の隙間を縫うように何百台という自転車がレースのように走っていて、驚きの光景が広がります。

 私は当初、このバス、車、オートバイ、自転車の攻防戦を間近で見ていて事故に巻き込まれる自信があったので、自転車には絶対に手を出さないと思っていました。しかし、私もほどなくして自転車を購入。やはり交通事情の不安定さ(と衛生面)にストレスを感じましたし、仕事場まで片道8キロほどだったので、健康にもいいかなと思い直したのです。

 朝早い時間ならば道路もそこまで混んでいませんし、比較的大きな道路には自転車専用レーンが設けられていることが多いので、心理的なハードルも少し下がります。

 イギリス政府としても、もともと環境政策のために自転車利用(通勤)を推奨していて、街の至るところで自転車シェアサービスが普及しています。

 一番有名なのは、決まったステーションから自転車を借りて返すサンタンデール提携のものでしょうか。1回きりでも、月極でも、自分の生活スタイルに沿って借りられます。そのほかにも、最近はいろいろな会社が進出し、UberやLimeなど完全乗り捨てタイプのサービスも発達してきています。

 お住まいのカウンシルによっては、政府発案の自転車購入補助スキームを導入していることもあります。種類はかなり限られていますが、一般的な自転車が格安で購入できるほか、月極の自転車レンタルサービスをやっていることも。

 さらに企業も、政府発案のサイクルスキームに加盟していることがあります。提携サイクリングショップからの購入で、利息なしで分割払いが使えたり、セール品を買えたりと、さまざまなメリットが。こうした取り組みが通勤事情の改善にどのような影響を与えるのか、日本でも参考になりそうですね。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。