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2024年は印象派誕生150年の節目 「睡蓮」などモネの作品が日本各地で注目に

公開日:  /  更新日:

著者:横井 弘海

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」が東京都美術館で開催中

「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」より、クロード・モネ「睡蓮」1908年 ウスター美術館【写真:横井弘海】
「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」より、クロード・モネ「睡蓮」1908年 ウスター美術館【写真:横井弘海】

 印象派の絵画でも、とりわけモネの代表作「睡蓮」は有名です。

 モネは1840年生まれ(~1926年)。1890年代後半から、ジベルニーの自宅に作った「水の庭」の睡蓮を主題として、約30年間で約300枚の睡蓮の連作を描きました。そこには季節、天候、時間を変えて、移ろう光と大気を表すさまざまな情景が描かれています。

 今、日本で観ることのできる「睡蓮」のうち、私の個人的なおすすめは「睡蓮(Water Lilies Nympheas)1908年」です。現在、東京都美術館で開催中の「印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵」(~4月7日(日))で見ることができます。

 約1メートル四方(94.8×89.9センチメートル)に描かれた睡蓮の花は可憐で、淡い水色の豊かな水をたたえる池が木立を鏡のように映し、なんとも優しく幻想的です。あまりに美しくて、何度も絵の前を往復し、見惚れてしまいました。

 実はこの「睡蓮」、数ある連作のなかでも世界で初めて美術館に購入された作品です。まだ印象派の評価が定まっていないときでしたが、ウスター美術館は開館当初から積極的に印象派の絵画を収集したことで知られています。

 本展はもちろん「睡蓮」だけでなく、アメリカのウスター美術館が所蔵する印象派コレクションを中心に、フランスのほかドイツ、北欧、アメリカの印象派を代表する画家たちの作品が一堂に会します。日本初公開の作品も多数出展されており、とても興味深い展覧会です。

「モネ 連作の情景」展はルーブル美術館展をしのぐほどの人気ぶり

上野の森美術館で開催された「モネ 連作の情景」展の入り口付近は、ジベルニー邸の庭をイメージ【写真:横井弘海】
上野の森美術館で開催された「モネ 連作の情景」展の入り口付近は、ジベルニー邸の庭をイメージ【写真:横井弘海】

 さて、印象派は19世紀末にフランスで流行したジャポニズム(日本様式)に影響を受けたそうで、そんなことも関係しているのか、日本人には昔から人気がありますね。

 昨年から今年の1月28日まで、上野の森美術館で開催された「モネ 連作の情景」展には連日行列ができ、46万人以上を動員しました。この数は「美術手帖」が発表した2023年大型展覧会の入場者数の1位「ルーブル美術館展 愛を描く」の45万531人を上回ります。

「モネ 連作の情景」は、会場を大阪中之島美術館に移して開催中(~5月6日(月・休)まで)。東京展よりも規模を拡大し、最大12点が大阪だけで展示されます。睡蓮の絵を含めて、展示される約70点すべてがモネの作品ですから、さらに人気も沸騰しているでしょう。

 秋には、東京の国立西洋美術館で「モネ、睡蓮のとき」展も開催されます(10月5日(土)~2025年2月11日(火・祝))。こちらには、モネ晩年の大画面作品が集う予定。フランス・パリのマルモッタン・モネ美術館のコレクション約50点に加えて、日本国内に所蔵される名品も一堂に会します。

 モネ三昧の2024年。あなたにとっておきの「睡蓮」を見つけられるはずです。

(横井 弘海)

横井 弘海(よこい・ひろみ)

東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1989年よりテレビ東京アナウンサーとして、スポーツ、報道、情報番組を担当。フリー転身後はテレビ東京、TBS NEWS、時事通信社で約180か国の駐日大使取材を行い、「大使夫人」(朝日新書)を上梓。取材と旅行で訪れた国は世界約70か国。NPO法人「ハートTOハート・ジャパン~助かる命を助けられる国へ~」理事。コラム執筆、イベント司会、ナレーター、番組企画、コミュニケーションスキル研修講師も行う。