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遺産相続“あるある” 関係ない人が出しゃばって揉める…税理士がよく目の当たりにするケースとは
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遺産は法定相続分通り分けるものではない あくまでも目安
似たようなケースで、友人知人が相続人に入れ知恵をして話を複雑にしてしまうこともあります。そんなときの決まり文句は「そんな話、普通納得できないでしょ」。
相続に「普通」があるのかどうかはわかりませんが、そういう人が参考にするのは「法定相続分」です。財産は「法定相続分通りに分けるもの」と考えている人もいるようですが、あくまで目安にすぎません。どう分けるかは、相続人同士で自由に決めれば良いのです。
では、なぜ「法定相続分」があるのか? それは、分け方の目安がないと、相続人同士で自由に遺産の分け方を決めるのが難しいケースがあるからなのだと思います。
たとえば、子どものいない人のケースで考えてみましょう。夫が亡くなって、残された妻がその財産を義理の親やきょうだいと「自由に分けなさい」なんて言われても、どうすれば良いのかわかりませんよね。そこで、どう分ければ良いのかの目安として「法定相続分」が用意されているというわけです。
相続分割はそれまでの長い歴史を勘案すべき
最近は相続についての知識を持つ人が増えたように思います。ですから、ついつい他人の相続にも口を挟みたくなるのでしょう。でも、それは大きなお世話というもの。
私個人としては、相続は亡くなった時点の「点」で考えるものではなく、それまでの長い歴史を勘案すべきものではないかと考えています。
赤の他人同士であれば、財産を等分に分ければ良いだけ。「法定相続分通り」でなんの問題もありません。
でも、家族には、ひとつ屋根の下で長い間暮らしてきたからこその問題や、互いの関係があります。それをしっかり考慮して、みんなが納得できるような分け方を決める。簡単なことではありませんが、これが円満な相続につながるのだろうと思っています。
そんな家族の歴史を踏みにじるかのような外野(失礼!)の登場は、相続に揉め事をもたらすことはあっても、円満解決に導くことはまずないでしょう。世の夫、妻、友人知人のみなさま、他人の遺産分割には口を挟むことなかれ! です。
(板倉 京)