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仕事・人生

「あれもこれもできなかった…」となった時期も テレビ東京で働く真船佳奈さんが子育て漫画を続けられるワケ

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・鍬田 美穂

友達の誘いを断っていた夫 母をベビーシッターとして“雇う”理由

漫画も含め真船さんの仕事を理解し一緒に子育てする夫【画像提供:真船佳奈】
漫画も含め真船さんの仕事を理解し一緒に子育てする夫【画像提供:真船佳奈】

 真船さんは「私の場合は漫画が趣味でもありますが、仕事としてお金もいただいているので、描く時間を『仕事だから』と言えて、時間が作りやすい」といい、そのことで反省したこともあったのだとか。

「夫に『この日は仕事しなきゃなんだけど』と息子を引き受けてもらったとき、実は夫が友達との予定を断っていたことが、あとでわかったときがあって。『仕事だから』と、優先してくれたのはありがたいけど、夫にも友達と過ごすほか、自分の時間は必要です。お互いに予定を伝え合っていたら、実家に泊まりに行ったり、ベビーシッターさんにお願いしたりなど、第三の方法を考えることができたのに……という話をしました」

 そして週2~3日、息子さんを預ける母には「『親子でお金のやりとりをするなんて!』と思う人もいるでしょうし、プロに支払うのと比べたら、かなり申し訳ない金額ですけど」と断りを入れつつ、ベビーシッター代を払っています。

 実母であっても、子育ての感覚が違うなど、お互いにストレスを溜めるケースは少なくありません。真船さんも一時は、同様の状況に陥りました。そのとき、悩んでいる真船さんを見た実母から「お母さんをベビーシッターとして雇わない?」と提案されたのだとか。

多くの人に囲まれ、すくすく成長している息子さん【画像提供:真船佳奈】
多くの人に囲まれ、すくすく成長している息子さん【画像提供:真船佳奈】

「子どもが生まれたばかりの頃、何度か手伝いに来てもらいました。でも、母には母のやることがあるなか、申し訳ないし、私自身が母に甘えているのも嫌だったり、息子の教育方針でぶつかってもなかなか本音が言えなかったり……と、イライラしてけんかになることも。もちろん感謝しているし、旅行や食事、贈り物などできるタイミングでのお礼はしていましたが、一方的に援助してもらう関係に遠慮する気持ちから『お金を払ってプロのベビーシッターさんに頼むほうが……』と考えがちになっていたんです。

 母はそんな私を見かねて、『孫はかわいいから、もちろんタダでも今まで通り手伝いに来たい。でも『申し訳ない』という気持ちで頼みづらくなってしまうのであれば、“お仕事”として金銭を介在させたほうがいいんじゃない?』と。そうしたことで、気兼ねやけんかもなくなりました。息子に対してこうしてほしいということも、お仕事としてだからこそ伝えられるようになったんです。

 仕事に復帰後は母が来やすいように、母の家の近くに引っ越しました。母が帳面に、預かった日数や買い物で立て替えた金額を記録してくれて、月末にお給料袋に入れて支払うんです。微々たる額なのですが、『これで今月は服を買う』など、母が“お仕事”として生きがいにしているのを見て、この形にして良かったなと思います」

 さまざまな人が子育てに関わることで、息子さんにいい影響を感じているともいいます。

「私ひとりで、子どもとふたりっきりだった時期は、何をするわけでもなく目の前のことに対処するだけで時間が過ぎていき、夕方になると『今日もあれもこれもできなかった……』と、つらくなってしまっていました。余裕がなくなると、家事がうまくいかないイライラを、息子に隠し切れなくなるときもあって。でも今は、息子を大切に思っている人たちが、私のほかにもたくさんいるという状況で、息子が心底かわいく感じられるようになりました。

 ほかの人の目を通すと、今まで知らなかった息子の長所もどんどん見つけられます。もともとの性格もあるかもしれないけれど、息子は人見知りせず、楽しく過ごしてくれていますね。もちろん、外部に頼むなかで出費もかさみますが、息子が小さくて手がかかるうちは、これも必要経費だと思って割り切っています」

 さまざまな人が子育てに関わることで、息子さんの世界も広がっているようです。

(Hint-Pot編集部・鍬田 美穂)