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「母親に対して、とにかく厳しい」SNSの風潮 真船佳奈さんが子育て漫画で“弱音”を発信する理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・鍬田 美穂

子育ての大変さに厳しいSNSの声 弱音を発信することに意義も

自治体や行政のサービスは、PDFをひとつずつ開かないと情報が確認できなかったり、窓口へ行かないと利用できなかったりすることも【画像提供:真船佳奈】
自治体や行政のサービスは、PDFをひとつずつ開かないと情報が確認できなかったり、窓口へ行かないと利用できなかったりすることも【画像提供:真船佳奈】

 自身の体験を発信することが、同じ経験を持つ人の共感だけでなく、周囲の理解にもつながることを実感しているという真船さん。不特定多数が目にするSNSで、あえて弱音を吐くのには理由があります。

「子育て中のお母さんがSNSで弱音を吐くと『そんな覚悟もないのに、子どもを産んだんですか?』とか、手間を省いたことを投稿すると『そんなに楽がしたいんですか?』とか、『子どもがかわいそう』など、とにかく叩く人がたくさんいます。どうしてか子育て中の親に対して、とにかく厳しくて、弱音を吐くとすぐ石を投げられる風潮があるんです。

 そのなかには『自分は一生懸命やっているのに、この母親は……』と考える同じ子育て中の人もいて。子育てに対する厳しい意見を目の当たりにして、『もっと頑張らなきゃ』と思ったお母さんが、別のお母さんを許せなくなって叩いてしまう……。そうしたなかで、愚痴もこぼせないし、弱音も言えなくなっている人がいっぱいいると思います。だから自分は『積極的に弱音を吐いていこう!』って」

 そうした真船さんの“弱音”は、同じ悩みを抱える人たちの代弁になることも。さらに、身近に似たような立場の人がいる周囲の人間には「もしかしたら、こういうことで困ったり、悩んだりしているのかも……」という気づきにつながるケースが少なくありません。

とにかく大事なのは「子どもがニコニコしていれば、それでよし!」

SNSで人気の「仁義なき保活物語」シリーズのひとコマ【画像提供:真船佳奈】
SNSで人気の「仁義なき保活物語」シリーズのひとコマ【画像提供:真船佳奈】

 困っていることや“弱音”をエッセイ漫画として発信し、子育てをする女性たちから、多くの共感を得ている真船さん。その根っこには、多くの母親と共通する大きな軸がありました。それは「子どもがニコニコしていれば、それでよし!」ということ。

 真面目に頑張りすぎて、家事や仕事といったタスクを抱えれば抱えるほど、余裕はなくなります。小さな子どもがいれば、部屋が片づかないのは当たり前だし、忙しければ食事の準備が負担になるけれど、食べさせないなんてできません。真船さんは、帰宅後はワンオペのことも多く、手が回りきらないこともたくさんあるといいます。

「適当でもいいんです。食事もデリバリーを頼んじゃったりするし、総菜や冷食もガンガン使ったりします。『こんな日があってもいいよね』って思わないと、苦しくなっちゃう。掃除・洗濯・炊事、どれをとっても死なない程度にしか頑張らないことにしています(笑)。タスクを抱えすぎたり、一生懸命になりすぎたりすると、どうしても子どもに対して『家事を邪魔されている』と思ったり、『一生懸命やってるのに!』と勝手に裏切られた気持ちになったりしてしまう。そうなるくらいなら、きちんとすることなんて、全部やめちゃえって考えているんです。

 部屋も本当に散らかっていて、お見せできないレベルですけど(笑)、むしろみんなに見せて『こんなんでも大丈夫だから!』って言いたいですね。そうじゃないと、子どもがのびのびできない。“ちゃんと”することより、『うちの子かわいいんです』と言って、優しい気持ちになるほうが大事だと思っています」

 子どもと一緒に笑える――そのためには、子育てをひとりで抱え込まず、手を抜くところを作っていい。真船さんは「息子がいなかったら頑張れない」と笑い、一番大切にすべきことを見失わないようにしながら、仕事と育児を両立していました。

(Hint-Pot編集部・鍬田 美穂)