Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

ライフスタイル

端午の節句に菖蒲湯に入る理由 月ごとに違う12の季節湯と期待できる効果とは

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

無病息災を願う菖蒲湯(写真はイメージ)【写真:写真AC】
無病息災を願う菖蒲湯(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 5月5日は、国民の祝日「こどもの日」です。こどもの日というと、鯉のぼりを飾って愛でたり、柏餅を食べたりするほか、ショウブを浮かべた菖蒲湯に浸かる風習もあります。なぜ、菖蒲湯に入るのでしょうか? 時代とともに薄れていく伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。菖蒲湯の由来や、昔から伝わる月ごとの季節湯について紹介していきましょう。

 ◇ ◇ ◇

こどもの日は「端午の節句」や「菖蒲の節句」でもある

「端午(たんご)の節句」でもある子どもの日。端午の節句は、旧暦5月5日に行われた邪気払いの風習に由来があり、奈良~平安時代の頃に古代中国から伝わったとみられています。当時は、田植え前にヨモギやショウブの葉で葺(ふ)いた小屋に、若い女性がこもって身を清める日でした。

 昔の人は、ショウブには邪気を払う力があると考え煎じて飲んだり、根を漢方薬として、胃腸の調子を整えたり傷口を治したりするのに使いました。

 端午の節句にあたる旧暦の5月5日頃といえば、ちょうど梅雨時。蒸し暑さが増して、食べ物や水などが傷みやすくなる時期です。病を遠ざけるため、貴族の間ではショウブを使って丸く編んだ玉を飾ったり、それを贈り合ったりする風習があったといわれています。

 このほか、端午の節句にショウブを枕の下に敷いて菖蒲枕として眠ったり、菖蒲湯に入ったりして無病息災を願いました。とくに菖蒲湯には、日焼けや虫刺されから皮膚を守り、心を安らかにする効果があると考えられていたようです。

 このようにショウブを用いる風習がたくさんあることから、「菖蒲の節句」とも呼ばれます。

 江戸時代になると、端午の節句が変化していきます。ショウブが武を尊ぶ「尚武」や勝ち負けの「勝負」に通じることから、端午の節句は男の子の健やかな成長と立身出世を願う行事として定着。鎧兜や皐月人形、鯉のぼりなどを飾って祝う習わしが広まりました。東日本で端午の節句に柏餅を食べるようになったのは、この頃からといわれています。

 5月5日がこどもの日になった今も、菖蒲湯に入る風習があるのは、もともと端午の節句が邪気払いだった背景があるからでしょう。昔の気候とは違い、季節はずれの暑さや天気の急変で体調を崩しがちな現代。昔から伝わる菖蒲湯で、体を癒やしてみてはいかがでしょうか。