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端午の節句に菖蒲湯に入る理由 月ごとに違う12の季節湯と期待できる効果とは

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

夏の肌トラブルや疲れを回復 秋から冬は血行促進や風邪対策にも

○7月:桃湯
 湯に用いるのは葉の部分。「夏の土用は桃湯に入る」ことは、江戸時代からの習慣です。紫外線が気になる季節の肌荒れや日焼けなどのトラブルを抑える効果に期待。

○8月:ハッカ湯
 ひんやりと体を冷やすイメージがありますが、一方で末梢血管を広げて血行を促進し、体を内から温める効果も期待されています。現代の冷房による冷えにも。

○9月:菊湯
 一般的に季節湯に用いられるのは「リュウノウギク」と呼ばれる種類。厄を払う長寿の薬草といわれました。血行を促進し、筋肉痛などの体の痛みを和らげる効果に期待。

○10月:生姜湯
 体を温めてくれる食材として古くから注目。季節湯で用いることで全身の血行を促進し、体の疲れを癒やすものとされてきました。寒暖差が気になる季節に。

○11月:みかん湯
 果皮を使用します。漢方では乾燥させたものを「陳皮(ちんぴ)」と呼び、生薬として風邪の症状の改善に期待。体が温まり冷めにくく、風邪をひきにくいと言い伝えられています。

○12月:柚子湯
 冬至に入ると「一年中風邪をひかない」という言い伝えがあります。ミカンと同じ柑橘類の果実なので、体を芯から温める効果に期待。冬の薬湯として用いられています。

 このように、日本には入浴にも四季折々の旬のものを活かす文化があります。端午の節句の菖蒲湯をきっかけに、現代風に市販のバスソルトなどを活用して、先人の知恵が詰まった季節湯を楽しんでみるのも良いかもしれません。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
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