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子どもの五月病や不登校 「向き合う覚悟」など親が考えるべき対処法を専門家に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:瀬川 文子

親が果たす役割で大事なのは「必ず立ち直れると信頼すること」

親の接し方で子どもが孤立感を深めてしまうことも…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
親の接し方で子どもが孤立感を深めてしまうことも…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 真面目な性格で部活動を頑張り、部長に抜擢されたAくん。きちんと役目を果たしていましたが、強豪校で顧問からプレッシャーがあり、部員たちの不満を解決する日々は、会社員でいう中間管理職状態です。Aくんはやがて疲れ果て、不登校になってしまいました。親は気を揉みましたが、息子の性格をよく知るだけに無理強いはせず、休ませたといいます。

 最初のうち、Aくんは心身ともに疲労困憊で寝てばかりいたそう。その様子を見ながら、過干渉にならないよう疲れているのをいたわるうち、Aくんは少しずつ気力を取り戻し、本を読み始めるなど家の中では活動的になってきました。

 それでも、まだAくんは「学校へ行く」とは言いません。息子の様子を観察し、“まだ学校へ行くだけの気力はない”と感じた両親は、普段通り接しつつ見守り続けたそう。学校へ行けない日々が重なると、不安になることもあります。しかし、そうした気持ちに惑わされず、息子のコンディションに注意を払い、ひたすら心と体が回復するのを信じて待ったそうです。

 すると、Aくんが自分から「学校へ行く」と言い出しました。親はAくんと話し合い、大丈夫と感じましたが、今度は“また疲れ果ててしまうのでは”という不安を抑え、明るく送り出したといいます。そして、不登校がなかったかのように、Aくんは学校へ戻ることができました。

 瀬川さんはAくんの親について、「何もしていないように思えるかもしれませんが、こうした接し方は、よほど覚悟しないとできません」と称賛します。疲れ切って寝てばかりの状態には、心配や“このまま学校へ行けないかも”という不安も。活動的になれば「もう学校へ行ったら?」と、つい言ってしまう人も多いでしょう。

 しかし、親がそうした自分の感情を優先したら、Aくんは休息の地であるはずの家に居場所がなくなってしまうと、瀬川さんは指摘。親の態度に、Aくんは信頼感を覚えたからこそ、再び学校へ行く気力を取り戻せたといいます。

「お子さんを一番理解しているはずの親の役割は、子どもの力を信じて寄り添い、“必ず立ち直れる”と信頼を示すことです」

 ちなみに五月病と呼ばれる不調は、5月だけとは限りません。瀬川さんによると、「特定の時期だけではないですが、一番多いのは夏休み明けという印象」だそう。子どもの健やかな成長のためにも、日々の様子に気を配りたいですね。

(Hint-Pot編集部)

瀬川 文子(せがわ・ふみこ)

コミュニケーション・インストラクター。日本航空客室乗務員として14年間国際線勤務後、子育てをしながら米国のコミュニケーション訓練のプログラムの指導員をはじめ多くの資格を取得。コミュニケーションの大切さを講演、研修、著作で伝えることをライフワークとして活躍している。テレビや雑誌のインタビューに加え、主な著書に「聞く、話すあなたの心、わたしの気もち」(元就出版社)、「職場に活かすベストコミュニケーション」(日本規格協会)、「ママがおこるとかなしいの」(金の星社)ほか多数。