どうぶつ
全盲のねことの暮らし 兄弟ねこにも支えられ発見の日々 「かわいそうって思うことがかわいそうと教えてくれた」
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決め手はラクの“お顔スリスリ攻撃”
ねこを飼いたいと悩んでいた園子さんが、最初に心惹かれたのはキレイなブルーアイをしたルカくんでした。しかし、最終的に決め手になったのはラクくんだったそうです。
「初めて千春さんの家に行ったとき、ルカはチョロチョロして全然近寄ってこなかったんですね、遊ぶのに忙しくて。そうしたらラクが膝の上にのってきてずっと離れなくて」
ラクくんは、園子さんがいる間、膝の上でずっとずっとグルグルグル鳴いていたのだそう。
「もうすごいかわいいわけですよ。このグルグル言っている、周波数というか波動ってこんなに気持ちいいんだぁって」
ところが、ねこを飼った経験がなくお世話できる自信もなかった園子さんは、一度目は引き取る決心をすることができず家に帰ります。しかし、どうしても忘れられず、日を空けて2匹の元を再び訪れることにしました。
すると今度は、ラクくんのお顔スリスリ攻撃が(笑)。これが決め手となって園子さんはお迎えを決心したそうです。さらに周囲の人にインタビューをしていた際に、「1匹よりも多頭飼いの方がいいよ」、と聞いていたこともあり、
「えー、もう分かった! じゃあ2匹。兄弟だしね。一緒に行くか~って」
ねこを飼うのは初めてでしたが、思い切ってルカくんとラクくんを一緒に引き取ることに決めたそうです。こうして園子さんと2匹の暮らしが始まりました。
両目を失明していた「ラク」くんとの暮らし
兄弟揃って園子さんの元へと引き取られたルカくんとラクくんでしたが、2匹は3年前、想像を絶するほど過酷な環境から保護をされました。5匹兄弟のうち4匹の命は助かりましたが、無残な状態で押し入れの中に入れられていたのです。
保護されたとき、ルカくん以外の3匹は目を患っており、頭に穴があいている子まで……。ラクくんともう1匹は全盲となり、もう1匹は片目を失明して眼球摘出手術をしたといいます。
初めてねこを飼うにもかかわらず、同時に2匹の子ねこ。しかも、両目を失明しているラクくんとの暮らし。実際に飼い始めてみて、大変だったことは? と聞いてみると……。
「それが何にもないんですよ。ごはんを置いておけば自分で食べるし、トイレも自分でできます。夜、私が寝ているとちゃんと布団まで来ますし、ベッドに上がってきて追いかけっこすることも……。特に気を使うということがないんですよね」
ラクくんはどうやら目が見えないぶん、他の感覚が優れているのか、不自由さを感じさせたことがないそうです。
「彼自身、かわいそうなんてオーラは全然出しません。僕弱いの……みたいなところもないから、こちらも見えていないことを忘れちゃうというか」
ラクくんと初めて会う人は、見た目に一瞬ドキッとはするようですが、あっという間にその距離を縮める人懐っこさがあるそうです。
「一方的に『かわいそう』って思うこと自体がかわいそうなんだって、彼の存在自体が教えてくれている感じがするんです」
とっても甘えん坊で、ルカくんにずーっとついて回り、寝るときも必ず一緒だというラクくん。同じ格好で寝てたりじゃれあったり。まるでレスリングみたいになることもあるそうで、
「ギャーって噛み合ったりしてるんですけど、1分も持たずにすぐ舐めに入ります(笑)」
と、とても元気よく毎日を過ごしているそうです。