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セクシュアリティに悩んだ時期も 国際的に注目の僧侶、メイクアップアーティスト、LGBTQ活動家の原点とは
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自身のセクシュアリティに悩んだことも 法然の教えで救われた宏堂さん
僧侶でありながら時代の最先端で多彩な活躍をする宏堂さんは、法然上人や浄土宗をどうとらえているのでしょうか。
「法然の教えが今の私を作ったと言っても過言ではありません」という宏堂さん。
宏堂さんのプロフィールを簡単にご紹介すると、1989年東京生まれ。実家は都内にある浄土宗寺院です。アメリカ・ニューヨークのパーソンズ美術大学でファインアートを学んだのち、自分のルーツを知るために浄土宗の養成道場に入行し、2015年に僧侶になりました。このとき、仏教があらゆるセクシュアリティを受け入れていることを学んだそうです。
宏堂さんには、自分のセクシュアリティを打ち明けられずに悩んでいた時代がありました。
「メディアでは、私が大好きなアニメなどでも同性愛者がバカにされるなど、いいイメージで描かれてばかりいたわけではありません。そのため、『自分は抱いたらいけない感情を抱いているのかな』と、罪悪感や後ろめたさがありました。
それに対して、みんなが平等に救われるという法然上人の教えは魅力でした。私も平等に人としての価値を感じていいのだ、生きていていいのだと感じるきっかけとなりました。法然上人に自信をもらったのです。上人は、どんな人でも救われますよという教えをいろいろな方法で残してきた方だと思います」
留学時代の経験や仏教の教えに後押しされて、両親にカミングアウトしたのは24歳のとき。「好きなように生きなさい」と両親に言われて、「白黒の世界に色ができた感じがした」と回想しました。
その後、ロサンゼルスへ拠点を移し、ハリウッドでヘアメイクを学び、メイクアップアーティストとして世界的に高い評価を得るなど、活躍の場を広げています。
僧侶であり、メイクアップアーティストであり、LGBTQ活動家という多彩な活躍をされていますが、これらはどこかにつながる共通項があるでしょうか?
「なんのために、お坊さん、メイクアップアーティストをやっているのかなというのが、大事かと思っています。
心と技術、両方がないといけないのだと。練習もして、心を込めて、その両方がそろっていなければ、人の心に触れることができないと、僧侶の修行のときも、メイクでもずっと感じていて、そこが大事だと思っています」
後編では、宏堂さんならではの視点で、特別展「法然と極楽浄土」の見方を語っていただきます。
(横井 弘海)
横井 弘海(よこい・ひろみ)
東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1989年よりテレビ東京アナウンサーとして、スポーツ、報道、情報番組を担当。フリー転身後はテレビ東京、TBS NEWS、時事通信社で約180か国の駐日大使取材を行い、「大使夫人」(朝日新書)を上梓。取材と旅行で訪れた国は世界約70か国。NPO法人「ハートTOハート・ジャパン~助かる命を助けられる国へ~」理事。コラム執筆、イベント司会、ナレーター、番組企画、コミュニケーションスキル研修講師も行う。