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「どんな時代でも、平和で幸せだなと思う人ばかりではない」 LGBTQ活動家の僧侶が救われた法然の教えとは

公開日:  /  更新日:

著者:横井 弘海

宏堂さんによる展覧会を観る3つのポイントとは

「山越阿弥陀図屏風と五色糸および由来書」。京都・金戒光明寺所蔵【写真:横井弘海】
「山越阿弥陀図屏風と五色糸および由来書」。京都・金戒光明寺所蔵【写真:横井弘海】

 同展は開宗850年を契機に、

第1章 法然とその時代
第2章 阿弥陀仏の世界
第3章 法然の弟子たちと法脈
第4章 江戸時代の浄土宗

 という4つの章によって、鎌倉仏教の一大宗派である浄土宗の美術と歴史を、鎌倉時代から江戸時代まで通覧する史上初の展覧会です。

 宏堂さんに、展覧会を観るポイントを3つ挙げてもらいました。

1. 実物を見て、書いた人の心が伝わる「書」
「僧の修行中、教科書で宝物や作品を見てきましたが、好きなアーティストの音楽をCDで聴くのと生で聴くのとが違うように、『書』はその人と実際にふれあっているような気持ちになれます」

2. 観て触れる芸術「阿弥陀如来像」
「たくさんの阿弥陀如来像があります。京都・上徳寺の90センチの阿弥陀仏像(東京での展示は5月12日で終了。京都・九州での展示は未定)のように、唇に水晶が薄くはめられていて、リップグロスみたいにキラキラしている像もありました。写真では見えませんが、見る角度を変えると、ある瞬間に見えてくるのです。こうしたものを作った人たちが伝えたかったこと、残したものを知るのは素敵な体験です」

3. 「いつの時代でも、どんな人でも、どんな特権階級でも、同じように不安はあった」という人々の思いを知る
「人間が不安に思う心は、変わらないもの。あなたが悩んでいるのは、あなただけではなくて、誰でも同じように不安はあるのだと感じてほしい。

 たとえば、京都・金戒光明寺所蔵の『山越阿弥陀図屏風と五色糸および由来書』(東京での展示は5月12日で終了。京都・九州での展示は未定)は、屏風から5色の糸が出ていました。臨終のときに、その糸を持っていると極楽に行けますよという作品です。亡くなるときは誰でも不安だし、どうなるかわからない。

 何かに安らぎや安心感を見つけて、できるだけ幸せに、苦しみを忘れながら生きていくことが大切だと物語っているのではないでしょうか」

(横井 弘海)

横井 弘海(よこい・ひろみ)

東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。1989年よりテレビ東京アナウンサーとして、スポーツ、報道、情報番組を担当。フリー転身後はテレビ東京、TBS NEWS、時事通信社で約180か国の駐日大使取材を行い、「大使夫人」(朝日新書)を上梓。取材と旅行で訪れた国は世界約70か国。NPO法人「ハートTOハート・ジャパン~助かる命を助けられる国へ~」理事。コラム執筆、イベント司会、ナレーター、番組企画、コミュニケーションスキル研修講師も行う。