どうぶつ
母ねこの最後の愛情で救われた命 民家の隙間から懸命に鳴き続けた生後間もない子ねこ「ムゥ」
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危険から守るために…母ねこの最後の愛情
ムゥくんがやってきたのは、まだ生後10日前後の頃。本来なら母ねこの温かい愛情とおっぱいが必要な時期でした。飼い主さんは、そんな母ねこに代わり、寝る間も惜しんで懸命にムゥくんを育てました。
「3時間おきのミルクからのスタートだったんですが、3日間くらい下痢が続いたことがあったんです。病院に行ったら、腸内に悪さをする菌がいたらしく消化不良を起こしていたことが分かりました」
そのとき、飼い主さんは、母ねこが人も入れないような場所にムゥくんを置いていった理由に気が付き、涙が止まらなかったといいます。
「野良の世界は小さな子ねこが生き抜いていくにはとても過酷な厳しい環境です。母ねこは、本能でこの子はきっと長くは生きられないと悟ったんでしょうね……。それでも我が子を危険から守るための最後の愛情だったんじゃないかと思います」
しかし、ムゥくんは必死で鳴きました。鳴き続けました。
「あのとき、ずっと鳴き続けてくれたからこそ見つけることができました。たくさんミルクを飲んでくれたおかげで、今こうして元気に大きく育ってくれました」
甘え下手なこの子をいつまでも膝まくらし続けたい
すっかり甘えん坊に成長したムゥくん。今では朝起きると必ずベッドへやってきて挨拶をしてくれます。
「カリカリを器に出してあげるんですが、器から食べずに『食べさせて~』と鳴いて私を見ます。カリカリがなくなると器と私を交互に見てくるので、ついついおかわりをあげちゃいます(笑)」
甘えたがりなくせに甘え下手。そんなムゥくんの性格を察して“無理やり”抱えて膝まくらするのも、飼い主さんの日課なのだとか。
「逃げたりはしません。むしろ居心地がいいのか、40分くらい膝まくらで寝てくれるんです」
こうして幸せな毎日を送る飼い主さんとムゥくん。飼い主さんは、病気や怪我をすることなく、お互い元気でいつまでも一緒にいたいと願います。
「ムゥはちょっと気を遣いすぎるのか、下に妹ができたときに、過剰グルーミングで2度円形脱毛症になったことがあったんです。今のところ、大きな病気はしてませんが、本当に健康が一番だな~と思います」
もしあの時、母ねこがあの場所にムゥくんを置いていなかったら……。ムゥくんが鳴き続けていなかったら……。失われていたかもしれない命。
でも、飼い主さんは懸命に生きようとする、その小さな声を聞き逃しませんでした。そして、母ねこの最後の愛情を受け取って、しっかりとその命を繋いだのです。
「これからも甘え下手なこの子を無理やり膝まくらし続けたいですね」
今、ムゥくんには誰よりも深い「お母さん」からの愛情が注がれています。今日も明日もずっとずっと、ふたり一緒に。その穏やかなしあわせが続いていきますように。
(猫ねこ部)