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どうぶつ

“ねこの本だらけ”の本屋さんが生まれた理由 コンセプトは「本屋がねこを助け、ねこが本屋を助ける」

公開日:  /  更新日:

著者:猫ねこ部

「命を預かることは死に目にも遭うこと」

 お話をしてくれたのは、キャッツミャウブックス店主(ニンゲン)の安村さん。

 もともと田舎にある実家で、ねこを飼っていたという安村さん。けれど、上京したのちその子は亡くなってしまったそうで……。

「命を預かることは死に目にも遭うこと」

 それが怖くて、その後は自らねこを飼うことがなかなかできなかったそうです。でも、ねこのことはずっと好きだったのだとか。

 そんな安村さんが本を好きになったのは、本好きのお母さまの影響から。小さな頃から家に本があることが当たり前の空間で育ってきました。

「ねこが好き、本が好き」それは安村さんの奥様も同じで、いつの間にか本棚の一角には、ねこが出てくる本ばかりが自然に並んでいたそう。

「いつかこの本棚いっぱいに世の中にあるねこの本を集められたら……」

 毎日本棚を眺めながら、安村さんはそんなふうに思っていたといいます。そんな夫婦にある日、1匹のねことの出逢いが訪れます。

店内の一角にある三郎スペース。永遠の店長だからと、先に形見を作ってしまったとか。羊毛フェルトの先生にオーダーメイドで作ってもらったそう【写真:猫ねこ部】
店内の一角にある三郎スペース。永遠の店長だからと、先に形見を作ってしまったとか。羊毛フェルトの先生にオーダーメイドで作ってもらったそう【写真:猫ねこ部】

本屋を始めるきっかけとなった「三郎」くんとの出逢い

 当時安村さん夫妻が住んでいた、西荻窪のアパートには共用の中庭があり、そこには毎シーズンねこが子どもを産みにきていました。

 そんなある日、母ねこが3匹の子を出産。けれど、産んでからほどなくして、お母さんねこがまさかの育児放棄をしてしまったのだそう。残された3匹の子ねこたちは、まだ目も開いてないような状態で、おっぱいが欲しくて鳴き叫びます。

 そして、鳴き声は日に日に小さくなっていきました。

「このままでは3匹とも死んでしまう……」そう思った安村さんは、思い切って生き残っていた1匹の子ねこを家に迎え入れることに。引き取るということは一生飼い続けること、死に目にも遭うということ。それまで実家のねこのこともあり躊躇していた安村さんでしたが、すべてを覚悟の上で迎え入れました。

「最初に亡くなってしまった子たちは一郎と二郎。この子は三郎にしよう」

 安村さんがどんなに名前のアイデアを出しても、奥様は“三郎”という名前にこだわりました。

「もっと助けられるねこがいただろうな」

 三郎くんと暮らし始めてから、そんな想いをずっと持ち続けてきた安村さん。いつかは他のねこを助けるお手伝いができたら……。それが「本屋がねこを助け、ねこが本屋を助ける」というお店のコンセプトにつながっていきました。

 キャッツミャウブックスの「ねこ店長」である「三郎」くん。普段は2階の自宅にいてお店には顔を見せないけれど、その存在があったからこそ、このお店は生まれました。

記事協力:Cat’s Meow Books(キャッツミャウブックス) 公式Twitter:https://twitter.com/catsmeowbooks

(猫ねこ部)

猫ねこ部

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