動物・レジャー

会社員として働きながら書店を経営するということ ねこ本専門店店主に聞く“パラレルキャリア”の実際

著者:猫ねこ部

タグ: , ,

「キャッツミャウブックス」のねこ店員「すず」ちゃん【写真:猫ねこ部】
「キャッツミャウブックス」のねこ店員「すず」ちゃん【写真:猫ねこ部】

 ねことの暮らしのアイデアが詰まった「猫ねこ部」がお届けするシリーズ「あなたの街の看板猫」。ねこ好きなら一度は行ってみたい東京・世田谷区にあるねこ本専門店「キャッツミャウブックス」は、4匹のねこがお出迎えしてくれます。3回目の今回は、会社員として働く傍ら書店店主としての顔も持つ安村さんの日常について。奥様のサポートを受け、ねこ達を守るために毎日一生懸命!

 ◇ ◇ ◇

ねこ店員4匹は全員“りんごねこ”

 店主の安村さんによると、「本屋がねこを助け、ねこが本屋を助ける」ねこ本屋「キャッツミャウブックス」をオープンするにあたり、看板ねことして保護ねこの「ごましお」くんを迎える予定でした。

 しかし、オープンを待たずして、「ごましお」くんは不治の病と言われるFIP(猫伝染性腹膜炎)を発症。お店に立つことなく、この世を去ることになります。

「ごましお」くんと働く日を心待ちにしていた安村さんでしたが、急遽店員ねこ探しを始めることに。とはいえ、相談先も見つからず途方に暮れていた安村さん。しかし偶然、保護ねこカフェ「ネコリパブリック」と出会いました。

「荻窪のブックカフェ『6次元』で、神保町にある『にゃんこ堂』さんと一緒に、ねこ本を紹介しまくるイベントを企画した時に、ネコリパブリックの当時の“都知事”さんが、お客さんとして来てくださっていたんです」

 ネコリパブリック=ねこ共和国。ニンゲンで一番偉い代表は“首相”と呼ばれ、他にも“防衛大臣”、“官房長官”など、さまざまな役職があるのだそう。“都知事”とはつまり、東京の各店をとりまとめている偉い人のことでした。

 安村さんはこのチャンスを逃すまいと、その人に直談判。そしてやってきたのが、4匹の店員ねこ達でした。

 まずは一番の若手、仲良しキジトラ女子ズ。「鈴(すず)」ちゃんと「読太(よんた)」ちゃん。

 そして、ちょっぴりオトナな黒ねこの「さつき」ちゃんと、そのさつきちゃんとは元々仲良しだというキジ白の「チョボ六」ちゃん。

 実は、この子達は全員りんごねこ(※のちに読太は陰性と判明した)と呼ばれる、猫エイズキャリア。実は猫エイズキャリアというだけで、譲渡率はとても低くなってしまうのだそう。

「むしろ譲渡されにくい子の里親になりたかった」

 そう話す安村さんは、喜んで4匹のりんごねこ達を受け入れました。

「猫エイズは、怖い病気だと思い込んでしまっている人もいるけれど、発症しなければ普通の子と何ら変わらないんですよ」

 りんごねこを看板ねこにすることで、こうした思いも世の中に伝えられたらと安村さんは考えます。

 4匹ともとても仲良しで、初対面の時にはもう“鼻ツン”といわれるねこ同士の挨拶をしていたほど。
その相性の良さや店員ねことしての適性は“ネコリパ”さんのお墨付きです。

「みんな本当に店員向きで、見ず知らずの人が来ても全然逃げたりしません。こんなに人がいてもグースカ寝てたり(笑)。プロの方の見る目はやはりすごいなって思いました」

ねこに呼ばれて…現在の物件との出逢い

 4匹のねこ店員が暮らすキャッツミャウブックスは、中古物件をフルリノベーションした自宅兼店舗です。1階が店舗、2階が安村さん夫婦の自宅になっています。

 この物件の決め手は住環境とお店をするバランスの良さもありましたが、最初に夫婦で内見に来たとき、家の外でねこがニャーニャー鳴いていたことだそう。

「こじつけかもしれないけれど、ねこに呼ばれてるのかもって思いました」

 ところが、物件が決まったことで、資金面での見直しが必要になる部分も増えたといいます。そこで、安村さんが資金集めのツールとして使ったのが「クラウドファンディング」でした。

 見ず知らずの人にお金を支援してもらうためには“共感”を得ることが一番大切。安村さんのお店のコンセプトは、ねこ好きの方に共感してもらえる要素満載で、結果として270万円以上もの支援をいただいたそうです。「お金を集めるというよりは、コンセプトに共感していただくためのツールとして使わせていただいたのが正直なところです」

 たくさん支援の声をもらい嬉しかった一方で、プレッシャーも感じたといいます。

「本屋をつぶさないためには他の収入も得ながらまわしていかないと……」そう思った安村さんは、“パラレルキャリア”の道を選びました。