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特定外来のカミキリムシの脅威 食い荒らされた樹木、驚きの姿とは 奨励金やグッズを配布する自治体も
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成虫の出現期間は6~8月 クビアカツヤカミキリの特徴と見つけ方
○特徴
【原産】
中国、朝鮮半島、ベトナムなど
【体長】
25~40ミリ程度
【特徴】
・体は黒く光沢があり、前胸部(いわゆる“クビ”)は鮮やかな赤色をしている
・国内に似たカミキリムシはいない
・オスの触角の長さは体長の2倍程度で長い。メスの触角は体長と同程度
・強い匂いを放つ
クビアカツヤカミキリは、5月中旬~8月頃に羽化し成虫になります。そして1か月ほどの寿命の間に、桜、桃、梅など、主にバラ科樹木の樹皮の割れ目などに多数産卵するのです。メスの生涯産卵数は最大約1000個という報告も。
幼虫の活動期間は4~10月 フンと木くずが混ざったフラスが食害のサイン
幼虫の期間は2年程度と考えられていて、幼虫の活動期間である4~10月頃が確認しやすい時期とされています。幼虫による被害の可能性がある樹種もまた、桜や桃(ハナモモ含む)、梅、スモモなどです。
樹木に開けた排出口から、フンと木くずが混ざった「フラス」といわれる排出物を大量に排出します。よって、樹木の内部に幼虫がいるかどうかは、フラスの発生で判断します。幼虫に内部を食い荒らされた木は、枯死して折れやすくなり、台風や強風による倒木の原因にも。梅の一大産地である和歌山県みなべ町では、フラスを見つけた人に1万円という高額の懸賞金を出す取り組みが4月から始まっています。
フラスの色は茶色または黄褐色で、粗挽きのひき肉やかりんとうのような形状をしています。樹皮に裂け目や割れ目のある樹木が好まれるため、低い木でも裂け目などが多い梅や桃、大木や老木の桜は要注意。高さが3メートルくらいまでの樹木は、幹や根元、太枝の表面にフラスがないか確認しましょう。なお、幼虫の活動が休止する冬季はフラスが見られません。
クビアカツヤカミキリの成虫やフラスを見つけたときの対処法
成虫を見つけたら場合は、その場で踏みつぶすなどして逃がさずに捕殺するとともに、見つけた市町村の環境担当窓口などに通報しましょう。生きたまま持ち運ぶことは、法律で禁止されています。
また、幼虫もしくはフラスらしきものを確認した際はただちに駆除を行うべきですが、方法については各自治体に問い合わせて対応を確認するといいでしょう。被害木の伐採や防除費用に補助金を交付している地域も複数あります。
この夏、地域の街路樹をはじめ、公園や山などに出かける際は、行った先にある桜や梅の木をよく観察してみてください。クビアカツヤカミキリによる食害で、枯れかけている木々の早期発見、倒木リスク回避をできるかもしれません。
【情報引用】
環境省公式ホームページ「クビアカツヤカミキリ防除の手引2024年3月」
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/animals_plants/400100a20191204115758336
【参考・写真提供】
茨城県ホームページ 「いばらきカミキリみっけ隊」を募集します!」
https://www.pref.ibaraki.jp/seikatsukankyo/kansei/tayosei/kamikirimikketai.html
(こばやし なつみ)
こばやし なつみ
半農半フリーランスPRプランナー。2009年に大学卒業後、東京のPR会社に就職。PRプランナーとして勤務後、14年に独立。同年、茨城県・水戸の兼業農家へ嫁ぐ。16年9月に茨城県立農業大学校いばらき営農塾(野菜入門コース)を修了、同11月に第1子を出産。現在は少量多品種(年間約30~40種)の野菜を義両親と共に作り、販売する傍ら、平日は執筆、意識調査の設計・分析等の仕事もこなしている。