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群馬県の知っているようで知らない魅力 落ち着いて観光できるスポットを元局アナがレポート

公開日:  /  更新日:

著者:日下 千帆

世界遺産登録10年を迎える「富岡製糸場と絹産業遺産群」

富岡製糸場の繰糸場【写真:日下千帆】
富岡製糸場の繰糸場【写真:日下千帆】

 続いて、妙義神社から車で20分ほどかけて向かったのは、群馬を代表する観光地のひとつであり、現在は多い日に一日3000人の見学者が訪れる「富岡製糸場」。2014年6月、「富岡製糸場と絹産業遺産群」として世界遺産に登録されました。

 富岡製糸場は1872(明治5)年に創業し、官営模範工場として115年間、生糸を作り続けました。見どころは、創業当時のまま完全な姿で残されている、和と洋の技術を織り交ぜて作られた工場建築です。

 木骨レンガ造りになっており、骨組みには妙義山の杉が使用されました。敷地面積は約5万5391平方メートル。建物の長さが140メートルという広大な工場を建築するため、当時は山が坊主になるほどたくさんの杉を必要としたといいます。そしてレンガは、深谷の瓦職人により造られました。音声ガイドやガイドツアーもあるので、予定に合わせて効率良く見学をするといいでしょう。

 ここで働いていた工女さんたちは、当時としては好待遇のキャリアウーマンだったそうです。日本の輸出品ナンバー1を誇った生糸の生産に関わる仕事は、さぞやりがいがあったことでしょう。

 場内には、シルクギャラリーと売店、2つのお土産スポットがあるので、富岡産の繭100%を使用した「富岡シルク」のお菓子や雑貨もお見逃しなく。

廃線跡は遊歩道として整備 国の重要文化財を見ながらウォーキングも

めがね橋【写真:日下千帆】
めがね橋【写真:日下千帆】

 富岡製糸場を見学したあとは、生糸の輸送で重要な役割を果たした鉄道遺産を見学しましょう。かつて「日本のシルクロード」と呼ばれていた、信越本線の廃線跡です。現在は遊歩道になっており、「めがね橋(碓氷第三橋梁)」や「旧丸山変電所」などの重要文化財を見学しながら楽しくウォーキングができます。

 めがね橋は、200万8000個のレンガで造られた、日本最大級の4連アーチ式鉄道橋です。山々の緑に古い赤レンガが映える美しい光景が広がり、その下を流れる碓氷川のせせらぎに癒やされます。

 地元観光ガイドボランティアによると、廃線跡が遊歩道として整備されたのは日本でここだけなのだそう。また、この橋から見た美しい景色は、高野辰之さんが作曲した童謡「もみじ」のモチーフになっているといいます。現在、この橋を世界遺産にしようというプロジェクトが活発化しているそうで、近い将来、たくさんの人がにぎわう観光スポットになっているかもしれませんね。

 今回紹介したスポットは、大型観光バスツアーがコロナ禍以降復活していない場所もあり、比較的落ち着いて観光することができます。まだまだ見たいものがたくさんあるほど、群馬県は魅力的な場所であふれています。

(日下 千帆)

日下 千帆(くさか・ちほ)

1968年、東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科を卒業後、テレビ朝日入社。編成局アナウンス部に配属され、報道、情報、スポーツ、バラエティとすべてのジャンルの番組を担当。1997年の退社後は、フリーアナウンサーとして、番組のキャスター、イベント司会、ナレーターのほか、企業研修講師として活躍中。