お金
毎年ふるさと納税で50万円を寄付していたところ、「税金がかかる」と税務署から突然連絡が来ました。払わなければいけないのでしょうか?
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生命保険の満期金も一時所得
では、なぜ明さんは税務署から「ふるさと納税にも課税する」といわれたのでしょうか。それは、満期保険金を受け取っていたからです。
一時所得は、ふるさと納税だけではありません。その年のすべての一時所得を合計して、計算するのです。
○一時所得となる主なもの
・満期保険金・保険の解約返戻金
・競馬・競輪などの払戻金
・懸賞や福引の賞金品など
保険の満期金や解約返戻金も一時所得です。今回、明さんは満期保険金として、600万円を受け取っていました。支払った保険料は、400万円。もらった満期金と支払った保険料の差額が、一時所得の対象となります。
○明さんのケース
一時所得=600万円(満期保険金)-400万円(実際に支払った保険料)-50万円(特別控除額)=150万円
保険の満期金だけで、150万円の一時所得があったということ。これに、ふるさと納税の一時所得15万円を併せると、165万円の一時所得があったということになってしまうのです。
一時所得は、その額の1/2に課税する決まりになっています。明さんの所得税率は、23%だったため、約19万円の申告漏れがあったというわけです。
競馬や競輪も一時所得
実は、競馬や競輪も一時所得の対象です。以前、競馬大好きな某有名アナウンサーが約800万円の万馬券を当てたことが、スポーツ新聞に取り上げられたことがありました。800万円の万馬券を当てたら、どのくらいの税金がかかるのでしょうか?
当たった馬券を購入した額が10万円だったと仮定して、計算しました。
一時所得=800万円(払戻金)-10万円(馬券購入費用)-50万円=740万円
一時所得はその額の1/2に課税する決まりになっていますので、740万円×1/2=370万円が課税対象です。
某有名アナウンサーさんの年収はきっと高額ですから、所得税と住民税の最高税率55%で計算すると370万円×55%=203万5000円 です。
結構な額の税金になりますね。このアナウンサーさんは、しっかり納税されたとのことですが、もし競馬の儲けが一時所得だ! ということを知らずに申告していなかったとしたら……。
ニュースで大きくとりあげられた万馬券ですから、税務署が見逃すとは思えません。申告漏れを指摘されて、追徴課税を課されていたかもしれません。
ちなみに、今までのはずれ馬券がたくさんあったとしても、経費にできるのは、当たったときに買った馬券だけです。一時所得は、意外なものにもかかる税金なので、注意してください。
(板倉 京)
板倉 京(いたくら・みやこ)
1966年10月19日、東京都生まれ。神奈川県内で育ち、成城大学文芸学部マスコミュニケーション学科卒。保険会社勤務後に結婚。29歳で税理士資格試験の受験を決意し、32歳で合格する。36歳での長男出産を経て、38歳で独立。主な得意分野は、相続、税金、不動産、保険。テレビでは「あさイチ」「首都圏ネットワーク」(ともにNHK)、「大下容子ワイド!スクランブル」(テレビ朝日系)、ラジオでは「生島ヒロシのおはよう一直線」(TBSラジオ)などに出演して解説。主な著書は「夫に読ませたくない相続の教科書」(文春新書)、「相続はつらいよ」(光文社知恵の森文庫)、「女性が税理士になって成功する法」(アニモ出版)、「知らないと大損する! 定年前後のお金の正解」(ダイヤモンド社)など多数。