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傘は急に“凶器”に変わる― 他人の傘に「危険」感じる、調査で5割が回答 医師が注意喚起
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強く眼に傘の先端部分が当たったら、重篤な視力障害が起きる可能性も
子ども同士の傘遊びによるけがの治療を行ったことがあるという、眼科医の黒木明子さんによると、「本人にその意思はなくとも、急に凶器に変わるおそれがある」と傘の危険性を指摘します。実際に黒木医師が治療したときは、幸いにも点眼のみの軽傷で済んだそうですが、「傘が当たった強さや場所によっては、角膜穿孔や眼球破裂などの失明に直結する重篤な状態になることもあるため、注意が必要です」といいます。
「たとえば、傘が強めに眼に当たった場合は眼球打撲になり、眼球内の炎症や前房出血などあらゆる目の病気が発症する可能性があります。表面だけでなくさらに深く角膜が傷ついていたり、白目の表面結膜が破れる結膜裂傷になったりすることも考えられます。さらに、場合によっては手術が必要になることもあり、重篤な視力障害が起きる可能性があります」
たとえ当たった程度が軽めでも、眼に直接傘が当たった場合は、眼の表面の角膜や結膜に傷がついたり、結膜が出血(結膜下出血)したりすることがあるそうです。とくに角膜に傷がついた場合、痛みが強く出たり、涙が止まらなくなったりすることも。ただちに眼科を受診する必要があります。
また、まぶたの上から当たった場合は、眼球に直接影響があることは少ないといわれていますが、まぶたが腫れたり、内出血を起こしたりすることがあります。自己判断せずに、速やかに専門医に診てもらいましょう。
近年、傘の先端部分は安全性の高まりからとがった金属製ではなくプラスチック製が主流になってきていますが、「自分が誰かの凶器になり得るものを持っているという自覚を持って、常に自分の視界内に傘が入るように持ってほしいです」と黒木医師は話します。
傘の開閉時、使用時はもちろん、とくに気をつけたいのが、差していないときの傘の持ち方。無意識に傘を水平にして横持ちしたり、腕と一緒に傘を前後に振っていたりして、自分が誰かにけがをさせてしまう危険性があります。周囲の人に気を配りながら、安全な傘マナーを心がけたいですね。
※この記事は、「Hint-Pot」とYahoo!ニュースによる共同連携企画です。
医療法人くろき眼科院長。長崎大学医学部卒業後、長崎大学眼科入局。眼科専門医として、長崎に医療法人くろき眼科を開院。小さな子どもから高齢者の方まで、幅広い年代が抱える目の症状に真摯に向き合い、治療を行っている。
(Hint-Pot編集部)