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仕事・人生

50歳を迎えるいしだ壱成さん「ハリウッドを目指している」 後進の演技指導や舞台に多忙な日々

公開日:  /  更新日:

著者:日下 千帆

石川県で10年間 地方へ恩返ししたい思いも

――いしださんは、常にテレビドラマで活躍する個性的で才能のある役者さんという印象でしたが、近年、しばらくお見かけしていなかった気がします。その間、芸能活動はお休みされていたのですか?

「2011年から東京を離れ、石川県に移住していました。プライベートで大きな変化があり、精神的につらいことがいろいろとありました。

 5年ほど外に出られない時期もありましたが、もう一度、舞台に立ちたいという希望を常に持っていました。そしてあるとき、“植毛”のお仕事が来て、それを受けてから情報番組への出演などの仕事が増えていきました」

――苦労されたことも、お芝居には活かせるのではないでしょうか?

「そうですね。今、若手の演出もしていますが、『芝居に深みが出るので、苦労してください』とアドバイスしています。自分自身、経験の少ない若い頃は、泣く芝居がうまくできませんでした。

 ドラマ『ひとつ屋根の下』では、うまく泣けずに福山雅治さんを5時間も待たせてしまったことがありました。しかし、いろいろと経験した今なら、いつでも泣けます」

――今、希望が持てずに苦しい時を過ごしている方々にアドバイスできることはありますか?

「“今”という時間を大切にして欲しいと思います。小さなことでもいいので、ワクワクできることを探すといいと思います。農作業でもなんでもいい。何もかもできないではなく、これならできるということを見つけてください。旅に出るのもいいと思います。視野が広がると、物の見方や価値観が変わってきます」

――今後の夢や計画はありますか?

「全国で演劇祭を開催して、地方再生に貢献できればと考えています。地方には、立派な公民館などがたくさんありますから、これまでに出会ってきた中国やヨーロッパの演劇界の方々と協力し、京劇やヨーロッパの芝居を各地で上演したり、逆に地元の方々に出演してもらい、海外遠征に行ったりするのもいいですね。

 個人的な目標としては、ハリウッドを目指しています。タランティーノ監督に使っていただきたいです(笑)」

 頭の回転が速く、大きな夢を持ついしださん。実は英語も堪能だそうです。今年50歳を迎えるとは驚きですが、今もエネルギッシュで若々しく世界を視野に活躍しています。

(日下 千帆)

日下 千帆(くさか・ちほ)

1968年、東京都生まれ。成蹊大学法学部政治学科を卒業後、テレビ朝日入社。編成局アナウンス部に配属され、報道、情報、スポーツ、バラエティとすべてのジャンルの番組を担当。1997年の退社後は、フリーアナウンサーとして、番組のキャスター、イベント司会、ナレーターのほか、企業研修講師として活躍中。