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相続人ではない人に遺言書なしで遺産分割はできる? 600万円近く損することも 税理士が解説
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一族の仲が良いので、遺言書は必要ない! と思っている人もいるでしょう。しかし、仲が良好だからこそ遺言書を作成しておいたほうが良いケースも。豊富な実務経験がある税理士でマネージャーナリストの板倉京さんが、お悩みを基に解説します。
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「甥に遺産を分けてあげてほしい」と言っていた父
亡くなった人の財産を、相続人以外の人でも相続できるのでしょうか? 先日、こんなご相談を受けました。
「父が亡くなって遺産分けを考えているのですが、父は生前、甥っ子のたかしちゃんをとてもかわいがっていて、自分が死んだら、たかしちゃんにも財産を分けてあげてほしいと言っていたんです。遺言書はありませんが、父の気持ちも考えて、遺産のうち1500万円をたかしちゃんにあげようかと、みんなで話しています」
相談者は田中洋子さん(40歳)です。2か月前に父親が亡くなり、相続人は洋子さんと兄(45歳)と弟(38歳)の3人とのこと。洋子さんたちのいとこであるたかしちゃん(25歳)は、ひとり暮らしだった父の近所に住んでいて、よく遊びに行ってくれていたそうで、父もとても楽しみにしていたといいます。
なんとも心温まる話です。相続というと親族で財産を取り合う話ばかりと思いがちですが、こういう心優しい人たちもいらっしゃいます。
「ぜひ、たかしちゃんにも財産をあげてください!」
……と言いたいところですが、残念ながら相続人ではない甥は、遺産相続で財産をもらうことができません。
こう聞くと「誰が遺産をもらおうと家族の問題なのだから、好きにさせてくれ!」と思うかもしれません。しかし、相続は家族の問題であると同時に、民法や税法に規定された法律行為でもあるのです。
それを知らず、うっかり甥に財産をあげてしまったら……。甥が高額な贈与税を支払う必要性が出てくるかもしれないのです!