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日本で経験したことがない、すさまじい轟音と振動 日本人女性がイギリスで驚いた意外なカルチャーショックとは
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うるさすぎる音問題
もうひとつ、こちらの洗濯機で困ったことといえば、その音と振動のすごさ。高価なものや最新機器だったらまた違うのかもしれませんが、私が5回引っ越したなかで経験した洗濯機はすべてと言っていいほど、まずその音にびっくりしました(イギリスの賃貸物件では、家電は備えつけが一般的)。反動防止マットなどが敷かれていても、とくに脱水のときに轟音と振動がして家自体が震えるほど。
住んでいた家によっては上下の階にも住人がいたのですが、隣人の洗濯機の音と振動もよく伝わってきました。お互い様という感じで、とくに何か言われたことはありませんし、言ったこともありません。しかし、この音はすごいなと思って少しでも夜遅くに洗濯機を使うことはやめ、朝から洗濯機が回せる週末や在宅時に集中して洗濯するようになりました。
日本でそんなに音のすさまじい洗濯機を経験したことがなかったので、最初は故障かなと心配になっていたのですが、どれもこれもたいていは一緒。ここでも、日本の洗濯機の考え抜かれた設計と安全への技術が思い出されたのは、言うまでもありません。
原始的な洗濯干しや部屋干しが基本
さらに、その洗濯物をどうやって、どこに干すかも日本とは大きく異なります。こちらでは基本的に部屋干しです。その理由は、イギリスの天気は雨が降ったり霧が急に出たりして変わりやすいことや、冬場は日照時間自体も少ないことから外干しするメリットがないため。
景観上の理由もあり、自宅の中庭などに洗濯物を干すことはあっても、人目につく前庭やバルコニーなどに干すことはほぼありません。場合によっては、近隣から苦情も来るのだとか。
日本の気候だと、部屋干しは臭いがつきますし、乾きにくくて嫌だと思いますが、こちらは空気が乾燥しているためか意外に早く乾きます。ただし、ベッドリネンなど大物を洗うときは要注意かもしれません。湿気がこもるとやはりカビは発生しますし、風通しのいいところの確保が欠かせません。
私が住んでいた家では、コンサバトリー(イギリスの伝統的なサンルーム)で干すことが可能だったり、吹き抜けに滑車の昇降式物干しがあったりで、イギリスならではの生活の知恵やライフスタイルを見ることもありました。ですが、それに加えてやはりおもしろいのは、昔ながらの物干しでしょうか。
というのも、これでもかというくらいみんな使っているのは、同じベーシックな銀色の物干し。日本で見つかるようなスタイリッシュでおしゃれ、スリムで収納に便利、部屋内の天井から吊るせるといったこだわりや現代ライフスタイルに合わせて進化した物干しではなく、基本的には折りたたみ式のシンプルなタイプが多いと思います。
ここまで洗濯の難しい点を見てきました。7年もヨーロッパで生活すると、もうこのスタイルにいい加減慣れや諦めがついていますが、日本に帰るたびに「また進化していてすごい」と思ってしまうのは当分やめられなさそうです。
(Moyo)
Moyo(モヨ)
新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。