GLP-1は肥満症の人向けの治療薬

　次にGLP-1は、食事を取った際に、膵臓からのインスリン分泌を促進する小腸で作られるホルモンです。GLP-1を配合した肥満症治療薬を使用すると、食欲抑制による食事量の減少、胃腸活動の抑制による満腹感の持続、血糖値の上昇抑制による脂肪分解促進などが起こり、体重が減少します。

　GLP-1を有効成分とする市販薬は現在、販売されていません。現時点で、肥満症治療薬として国内で承認を受けているGLP-1受容体作動薬の「セマグルチド」が、医師の判断で処方されます。

　セマグルチドの対象者は、食事療法・運動療法の十分な効果が得られず、薬物治療の対象者として一定条件を満たす肥満症の患者に限定されています。肥満症治療ではなく単なる痩身やダイエットを目的とする場合、保険診療の処方はできません。

　ダイエット目的で使用すると、栄養障害、重症低血糖、急性膵炎が発現する可能性があり危険です。痩せている方がさらに痩せることを目的として使用することで、免疫力低下、骨粗しょう症、不妊などを引き起こす可能性もあることから、肥満症と診断された方だけにしか用いられません。

　また、投与をやめると高頻度でリバウンドが認められており、肥満症専門病院で専門医や栄養士による適切な診断、治療、適切な生活習慣改善指導を受けながら服用することが重要であると考えます。

ダイエットの基本は生活習慣の改善

　繰り返しになりますが、ダイエットの基本は食事習慣と運動習慣の改善です。仮に薬を使用して痩せたとしても、食事習慣と運動習慣の改善がなければ、薬の使用をやめたあとにリバウンドにつながる可能性が高いでしょう。

　まずは、自身の食事習慣と運動習慣を見直し、間食の量を減らす、階段を使うなどの小さな取り組みから食事習慣と運動習慣の改善を開始し、健康的に痩せる生活習慣を身につけましょう。

　オルリスタットやGLP-1といった薬については、そのような生活習慣の改善の助けとして利用するものと理解してください。

（Hint-Pot編集部）