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病院内で怒り狂う女性患者、きっかけは“子連れの姿” 看護師が話を聞くと…涙に込められた意味
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認知度低い婦人科の現実 「不妊治療すらもできない方々の苦しみって想像を絶する」
よっしーさんによると、同じような経験を持つ看護師は珍しくないと言います。
「子連れを見るのがつらい!! って直接聞いたことは実は少なくはありません。それなりの規模の病院だと婦人科受診している方の中にはさまざまな要因から子どもを望めなくなる(妊孕性を失う)可能性を告げられることもあったり…。そんな場面に接する現場なので、私以外にもこのような経験をしている看護師はいると思います」
子連れ受診について、たびたび議論になるのは、不妊治療科(クリニック)です。原則的に子連れ受診は禁止されており、小児科を併設している場合はフロアを分けたり、診察時間を分けたり、院内に託児所を併設しているところもあります。
一方で、婦人科は疾患の範囲が広く、年齢層も多岐に渡り、必ずしも妊孕性の問題に結びつくとは限りません。
「婦人科って全女性が患者としての対象だから、子どもがいる患者と子ども欲しかったけど病気で妊娠出産ができなくなった人が通うような場所なんです。何なら婦人科だけじゃないです。例えば乳腺科とかもそうだと思います。乳がんで治療によっては術後の化学療法で妊孕性を失う方もいたりしますし…女性専門の科ってそんな場所なんです」
しかし、出産を望む患者の心の痛みは、不妊治療に臨む女性と変わらなくあるとよっしーさんは訴えます。
「ここ最近は不妊治療等はメジャーにはなってきていますが、がんや子宮や卵巣系の疾患によって子どもを望むことすらできない、不妊治療すらできない方がいるって言う現実はそこまで認知されてないかなという印象はあります。不妊治療中の方々だって本当につらい。それと同じぐらい…いや。不妊治療すらもできない方々の苦しみって想像を絶すると思います」
看護師として「『子どもが欲しいのに産めない』側の気持ちには寄り添いたい」
病院職員の中には突然取り乱した女性に対し、嫌悪感を持つ人もいました。よっしーさんは、患者をサポートする側であっても、当事者にならなければ、理解できない壁があると感じています。
「子どもを産まない。と、産めない。と、興味がない。と子どもが大嫌い。ここの価値観が交わることは絶対にない。どの価値観も何1つ間違ってない。否定する気は全くない。しかし…看護師としては『子どもが欲しいのに産めない』側の気持ちには寄り添いたい。と思う」と投稿の意図を語りました。
望むのは、置かれた状況が違っていても、互いに思いやれる世界です。
「女性が主な科を受診している方々にはさまざまな背景がある、ということはお互いに理解し合いたいなというのが本音です。もちろん子ども禁止じゃないのに面と向かって子連れ患者さんが攻撃されたら、そこは違うだろ。ってなるけれど…子連れ受診に対してネガティブなオーラを醸し出してしまう方がいても…もしかしたらさまざまな背景があるかもしれない。って。反対に子連れ受診をしている人を見てつらくなってしまう側の人も預け先がなかったのかな…見るのつらいけど自分への当てつけじゃないしな。とか」
病院という特別な場だからこそ考えたい今回の問題提起。
投稿には6000件を超える“いいね”が寄せられ、「看護師さんの対応できっと救われたやろうなぁ…」「産科と婦人科は絶対に同じフロアにしない方がいいし同じ科でも内容によって分けた方が絶対にいいと率直に感じた」「報われないこともあるっていうのが理不尽すぎるよな本当に」「病院が子どもNG出してない時点で文句を言うのはちょっとどうかと思う」「自己処理も限界あるときあるよね」など賛否両論が上がっています。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)