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「初物を食べると寿命が延びる」といわれるのはなぜ? 長寿にまつわる言い伝え

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

実りの秋は初物もたくさん(写真はイメージ)【写真:写真AC】
実りの秋は初物もたくさん(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 9月16日(月・祝)は「敬老の日」。いつまでも健やかで元気に年齢を重ねていきたいですね。昔から、長生きの秘訣として「初物を食べる」とか「初物は75日寿命が延びる」といわれますが、なぜでしょうか? 日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、長寿にまつわる言い伝えについてです。

 ◇ ◇ ◇

「初物七十五日」の由来とは

 栽培や保存方法などが進歩して、今は季節に関係なく手に入る食材が増えましたが、昔は収穫や漁獲の季節になるまでは味わえないことがほとんどでした。旬の食材を味わうことは、四季折々の楽しみのひとつでもあったのでしょう。

 とくに、旬の走りの食材を「初物」と呼び、縁起が良いものとしてきました。初物は寿命を延ばす意味の「初物七十五日」ということわざもあるほどです。

 その由来には諸説あります。よく知られているのは「初物にはほかの時期では得られない生気がみなぎっているから」とする説です。旬の走りという限られた期間に出回る初物には勢いがあり、食べれば新たな力を得られると考えられました。そのことから「初物を食べると寿命が75日延びる」といわれるように。

 また、意外な説として、江戸時代の罪人説があります。処刑の執行前に食べたいものを聞かれた罪人が、その時期になかった食べ物を希望したところ、初物が出る季節まで待つことになりました。通常よりも75日長く生きることができたので、「初物を望めば75日寿命を延ばす」といわれたのが由来ともいわれています。

 75日という期間は、古代中国から伝わった「五行思想」が関係するとの説があります。これは、万物は「木・火・土・金・水」の5つの要素(五行)から成り立つとする考えです。季節であれば「木」は春、「火」は夏、「金」は秋、「水」は冬、そして「土」は季節の変わり目を意味します。一年をこの5つに分けると、約75日で季節がめぐることに。そのことから、75が区切りの目安になったとみられています。