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「『親ガチャ失敗』と思われそう」 30代男性が小1長女の様子に懸念 「体験格差」に悩み始めた理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

ほかにも「『我慢させている』と打ち明けられました」

 長女に元気がなかった理由を聞いた際、「妻から『実は少し前から、ピアノを習いたいと言われているのを我慢させている』と打ち明けられました。児童手当などもありますが、それも限られた金額ですから」とため息をつく健司さん。長女は現在ダンス教室のほか、長男と一緒にキッズ英会話に通わせていると話します。

 妻もパートをしながら節約してくれているものの、先々の教育費などを考えると貯蓄も必要。追加の習い事の費用を捻出するのは、難しいといいます。今、我慢させている後ろめたさから、健司さんは将来にも悲観的なイメージが湧いてしまったようです。

現在までに、あなたの両親の年収による体験格差を感じたことはありますか?【出典:アクシス株式会社「日本国内の『体験格差』に関する意識調査」】
現在までに、あなたの両親の年収による体験格差を感じたことはありますか?【出典:アクシス株式会社「日本国内の『体験格差』に関する意識調査」】

 キャリア支援を行うアクシス株式会社が実施した「日本国内の『体験格差』に関する意識調査」によると、「両親の年収による体験格差を感じたことはありますか?」という質問に64%が「ある」と回答。昨今は「親ガチャ」のほか、親の資産が多いことを「親が太い」といった言い回しをするなどもあり、経済的な環境によって学習や体験機会に格差が生じる状況を指摘する声が上がっています。

 健司さんの子どもたちはまだ小さいですが、将来的には大学進学をさせたいと考えています。自身の経験を振り返り、「就職活動の面接で、よく『学生時代に頑張ったこと』を聞かれますよね」と切り出した健司さん。

「部活動などに打ち込むにも、お金がかかります。アルバイトをしながら好きなことをやれるようになる年齢までは、習い事を含めて親の財力で体験できる幅が決まってしまう。昔は習い事なども『よそはよそ。うちはうち』と言って我慢させるのも、当たり前のしつけといった風潮でしたが、今は“不利”につながる感覚が大きいです」

「できる範囲で多くの経験はさせてあげたい」

 幸いなことに娘さんは、新学期のペースが落ち着くとともに元気を取り戻したのだとか。ただ、健司さんたちは子どものこれからを考え、夫婦で改めて教育方針について話し合う機会が増えたといいます。

「やりたいことをすべて叶えてあげることは、できません。とはいえ、できる範囲で多くの経験はさせてあげたい。妻と一緒に、レッスン費用が抑えられて、子どもたちが興味を持ちそうな自治体主催の子ども向け教室などを調べています」

 さらに妻は、「下の子が小学生になってからと思っていたけど、そろそろ就活をしようかな」と話しているそう。健司さん自身もワークライフバランスを改善でき、年収アップできる転職を考え始めたと明かします。

「そうは言っても、都合良く思うような転職ができるとは限りません。妻も会社員になると、家事の分担や子どもの送り迎えをどうするのか、問題は山積みです。収入アップに気を取られて、子どもに不自由な思いをさせたら本末転倒ですから……」

 慎重に考えたいと話しながら、「あのときの長女の様子を思い出すと、親として『なんの努力もしなかった』ということだけは、したくないんです」と言う健司さん。親としての責任を痛いほど感じているようです。

(Hint-Pot編集部)