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「○○の秋」と言うのはなぜ? 読書、スポーツ、食欲…秋の夜長に知りたい豆知識

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

秋といえば、読書? 食欲?(写真はイメージ)【写真:写真AC】
秋といえば、読書? 食欲?(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 猛烈な残暑が収まり、ようやく秋めいてきました。秋といえば、ほかの季節と比べて「○○の秋」と表現される言葉が多くあります。物価上昇が続く最近は「値上げの秋」とイメージする人もいるかもしれませんが、一般的には「読書の秋」「スポーツの秋」「食欲の秋」などが古くから言われてきました。なぜ秋なのでしょうか? 日本古来の伝承や風習、先人の知恵など諸説に着目するこの連載。今回は、「○○の秋」が多い理由や由来についてです。

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秋の過ごしやすさが理由のひとつ

 秋は、過ごしやすい気候になり、旬の食べ物も多くなる季節です。新年度など始まりの春から暑い夏を経て、環境も気候もようやく落ち着く頃。寒くなる冬を前に、いろいろなことに打ち込むのに最適な時期と考えられたことから、「○○の秋」という言葉が多く存在するようになったといわれています。

 昔から言われる代表的なものに「読書の秋」「スポーツの秋」「食欲の秋」があります。それぞれの由来をみていきましょう。

「読書の秋」の由来には2つの説

「読書の秋」が広まり、定着したことについて、2つの説があります。

 ひとつは、明治の文豪・夏目漱石が1908年に発表した小説「三四郎」に由来する説です。作中に、8世紀に活躍した中国の詩人・韓愈(かんゆ)の詩「灯火親しむべし(燈火稍可親)」を引用したことがきっかけといわれています。その詩の意味は「秋になると涼しくなり、夜も長くなって、明かりの下で読書するのに適している」というもの。小説をきっかけに、多くの人に「秋は読書の季節」といったイメージが広がったようです。

 もうひとつは、読書週間です。「読書の力によって、平和な文化国家を作ろう」という目的で、終戦まもない1947年11月16日から1週間を日本図書館協会が「図書週間」と制定し、1回目が開催されました。当時のアメリカの「チルドレンズ・ブック・ウィーク」にならったといわれています。翌1948年の2回目からは、開催時期を変更。11月3日の文化の日を中心にした10月27日~11月9日の2週間になりました。変わらず現在にも至っていることが、「読書の秋」が定着した理由のひとつでしょう。