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「○○の秋」と言うのはなぜ? 読書、スポーツ、食欲…秋の夜長に知りたい豆知識

公開日:  /  更新日:

著者:鶴丸 和子

「スポーツの秋」が定着したのは東京五輪

「秋といえばスポーツ」を定着させたのは、1964年に開催された東京五輪だといわれています。開催の2年後、開会式が行われた10月10日が「体育の日」として国民の祝日に制定されました。その後、2000年に3連休を増やすハッピーマンデー制度によって日にちが10月第2月曜日に変わり、2020年からは「スポーツの日」と名称を変更。「スポーツの秋」という印象が根づきました。

 今も秋には、運動会などスポーツを楽しむイベントが全国各地で開催されます。そもそもこの時期はさわやかに晴れる日が多く、スポーツをするのに最適な季節とされてきました。冬のように寒すぎて体が冷えてしまうことはありませんが、近年は季節はずれの暑さや台風など、天気が不安定な日もあります。自然災害や体調管理に十分気をつけて、「スポーツの秋」を楽しみたいですね。

「食欲の秋」は生き物の本能?

 秋は「実りの秋」とも言われ、米をはじめとした農作物の多くが収穫期を迎えます。栗やサツマイモ、キノコ、柿などおいしい食べ物が出回るのに加え、暑さで減退していた食欲も回復することから「食欲の秋」といわれるようになりました。

 また、「食欲の秋」は、生き物としての本能とする説もあります。寒さが厳しい冬を乗り越えるために「脂肪分を蓄えよう」と本能が働き、秋になると自然と食欲が増して、たくさん食べすぎてしまう傾向にあるとか。

 秋を表現することわざに「天高く馬肥ゆる秋」があります。これは「空が澄み渡って晴れ、馬が食欲を増し、肥え、たくましくなるほど過ごしやすい秋」を表したもの。快適な気温と適度な温度で馬も肥えるくらい、秋は食欲を増進させる季節です。

四季を大切に 「○○の秋」を楽しもう

 四季を大切にしてきた日本では、「○○の秋」という表現があるように、秋ならではの楽しみと豊かさを存分に味わってきました。

 近年は、温暖化の影響もあって残暑が長引き、年々秋が短くなっているように感じます。しかし、過ごしやすい時期を逃さず、何かに打ち込むのも良いかもしれません。読書やスポーツ、食など、それぞれの秋の楽しみを見つけて、充実した秋を過ごしましょう。

(鶴丸 和子)

鶴丸 和子(つるまる・かずこ)

和文化・暦研究家。留学先の英国で、社会言語・文化学を学んだのをきっかけに“逆輸入”で日本文化の豊かさを再認識。習わしや食事、季節に寄り添う心、言葉の奥ゆかしさなど和の文化に詰まった古の知恵を、今の暮らしに取り入れる秘訣を発信。
インスタグラム:tsurumarukazu