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「これだけの円安下で海外に住んでいるととくに感じる」 アメリカ暮らしで感じた日本との金銭感覚の違いとは
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お金の専門家なんていない!?
さて、日本では、2020年4月から子どもの金融教育が始まりました。アメリカでは一般家庭における貯金に対する投資の比率が高く、その分、日本よりも金融教育が活発です。
投資よりも、貯金のほうがリスクが少ないと主張する人もいますが、為替が変動するという考え方が抜けているように思います。これだけの円安下で海外に住んでいるととくに感じるのですが、貯金をしていても円の価値自体が下がってしまえば、資産価値は目減りします。
お金について、正解はないのかもしれませんが、少なくとも自分が納得できるように考えることは、大事なのではないでしょうか。
お金の考え方について書かれた本は数多く刊行されており、自分もいくつか目を通しました。
そのなかでも興味深く読んだのが、モーガン・ハウセル著の「The Psychology of Money」(邦題:サイコロジー・オブ・マネー 一生お金に困らない「富」のマインドセット)という書籍。お金に関するマインドをテーマにしており、世界的なベストセラーになっています。
その冒頭に書かれた投資についてのエピソードで、印象深いものがあります。
ある清掃員が死後に800万ドルもの資産を残せた一方で、ハーバード大学を卒業し、大手金融機関でキャリアを積んだ男が投資に失敗し、破産して無一文になったというもの。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
大学の医学部を卒業した医者と、医学を学んだことのない素人のどちらがうまく外科手術ができるかといわれれば、間違いなく医者でしょう。当然のことですが、専門知識のない人間に手術をすることはできません。
しかし、ことお金に関する世界は、専門家が素人よりもうまくお金を運用できるとは限らないということです。
こちらは日本語訳も刊行されていますので、ぜひとも読んでみてほしい一冊です。お金への向き合い方を考えさせられる話が詰まっています。
(ユキ)
ユキ(ゆき)
都内の出版社で編集者として働いていたが、2022年に妻の海外赴任に帯同し、渡米。駐在員の夫、「駐夫」となる。現在はニューヨークに在住し、編集者、学生、主夫と三足のわらじを履いた生活を送っている。お酒をこよなく愛しており、バーめぐりが趣味。目下の悩みは、良いサウナが見つからないこと。マンハッタン中を探してみたものの、日本の水準を満たすところがなく、一時帰国の際にサウナへ行くのを楽しみにしている。