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食後の眠気を防ぐコツ 炭水化物の前に食べる野菜の適量はどれくらい? 医師に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

食後の眠気。防ぐためにはどうすればいい?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
食後の眠気。防ぐためにはどうすればいい?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 仕事の合間のランチタイムに食べすぎてしまい、つい眠くなってしまうこともあるでしょう。または、夕飯後にテレビを観ながらうとうと……なんてことも。急な眠気を抑えるには、どうすればいいのでしょうか。また、病気が原因の場合もあるようです。食後の眠気について、筑波胃腸病院の鈴木隆二医師に伺いました。

 ◇ ◇ ◇

食後に眠くなる原因とは

 食後に眠くなるのは、体が消化にエネルギーを集中させるからです。とくに炭水化物をたっぷり食べたとき、血糖値が急上昇します。このとき体は、血糖値を一定に保とうとして、膵臓からインスリンというホルモンの一種を大量に分泌。すると、今度は血糖値が急降下します。

 血糖値の急上昇と急降下は体に負担を与え、エネルギー供給を不安定にします。その結果、体は「省エネモード」に入り、副交感神経が優位になって「そろそろお昼寝タイムかな?」と勘違いし、眠気を感じるようになるのです。

 このような食後の眠気を防ぐコツは、食事を分割払いのように、1日に数回に分けて取ることです。たとえば、1日3食の人は1回の食事量を7割くらいに減らして、1日4~5食に増やすといいでしょう。一度にたくさんの量を食べてしまうと、消化に全エネルギーを使うことになるので、体が急にダウンしてしまいます。

 また、食事の内容も炭水化物ばかりに偏らず、たんぱく質や脂質を取り入れると、体の中で食後の眠気を抑える準備ができるでしょう。

食後の眠気を防ぐには食べ順が大切

 食後に眠くならないようにするためには、食べ順も大切。炭水化物よりも先に、野菜から食べると効果的です。目安は、サラダボウル1杯分ほど。コンビニエンスストアなどに売っているカット野菜なら、1袋がちょうどいい量です。これで「血糖値スライダー」をゆっくり下ろし、急激な変動を防ぐことができます。食事のスタートに、サラダでウォーミングアップするようなイメージです。

 ブロッコリーやホウレン草、キノコ類など、食物繊維が豊富なものが効果的。これらは消化に時間がかかるため、血糖値がゆっくりと上がるように調整してくれます。

 野菜の次に、お肉などのたんぱく質を食べてから、米や麺などの炭水化物をとること。食事はよく噛んで、できれば時間をかけて取りましょう。そうすれば、炭水化物をゆっくり吸収し、糖質が出す「眠気の猛攻」をしっかりブロックできますよ。

 軽い運動もおすすめです。食後に5~10分ほど歩くだけで血糖値が安定し、眠気が和らぎます。また、カフェインを含むお茶やコーヒーを飲むのも眠気を軽減してくれるので、上手に取り入れてみましょう。

食後の異常な眠気で疑われる病気も

 食後の眠気が異常に強いと、糖尿病や低血糖症が疑われることもあります。糖尿病の場合は、血糖値をうまくコントロールできず、食後に異常な眠気を感じることがあるからです。また、低血糖症では食後にインスリンが過剰に分泌され、血糖値が急降下するので、強い疲労感や眠気が現れます。昼間の食後にひどい眠気を感じる場合は、睡眠時無呼吸症候群も考えられるでしょう。

 このような症状が頻繁にある場合は、早めに医師に相談し、適切な治療や食事管理を行うことが大切です。

◇鈴木 隆二(すずき・りゅうじ)
医療法人社団筑三会理事長。聖マリアンナ医科大学卒業。東京女子医科大学消化器病センター助教を経て、筑波胃腸病院、千葉柏駅前胃と大腸肛門の内視鏡日帰り手術クリニック・健診プラザの理事長に就任。日本消化器内視鏡学会専門医、日本外科学会専門医、茨城ヘルニア研究会世話人、麻酔科標榜医産業医、難病指定医。

(Hint-Pot編集部)