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フライパンに料理を入れたまま保存するのはNG フッ素樹脂加工を長持ちさせるコツ プロが伝授
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フライパンの寿命を縮める“うっかり行為”
ただし、このような「コーティング系フライパン」の寿命は、使う側の扱い方が大きいそう。河村さん直伝の、フライパンの寿命を縮めている“うっかり行為”は次の通りです。
○調理直後、熱いうちに水で冷やす
「急な冷却は、製品本体の収縮が起きてしまいます。本体の変形や塗装面のはがれにつながるおそれがありますので、なるべく避けてください。アルミ製品の場合、温度が下がるのも早いので、火を止めて1~2分放置してから、お手入れを始めるといいでしょう」と河村さん。
調理後、すぐに別の調理にフライパンを使いたいケースもあるかもしれません。
「その場合、まずは調理した料理をすべてお皿に移してください。使ったコンロは五徳が熱くなっていて冷めにくいので、別のところにフライパンを置き、熱を発散させましょう。調理中の温度は140~190度程度ですが、料理のお皿を食卓へ置きにいき、戻ってきた頃にはフライパンが少し冷めていますから、そのタイミングでお湯(40度程度)で洗うのがいいと思います」
○洗う際に重曹やクエン酸などを入れて放置する
「重曹やクエン酸など、酸性やアルカリ性の強いものを入れて放置したままにすると、変色などを起こす場合があります。ご使用のフライパンの材質を、しっかり確認しましょう。食器用中性洗剤であれば問題ありません。フッ素樹脂加工のフライパンは、洗浄しても料理の油分が薄く残っていると感じる場合がありますが、お湯と洗剤を入れた状態で少し置いておくことで取れやすくなります。カレーなどのソース類も、すぐにフライパンを洗うより、洗剤を入れたお湯にさらしておくと、鍋肌に付着せずきれいに落とせると思います」
○作った料理をフライパンに入れたまま保存する
「作った料理を、フライパンごと食卓へ出すくらいの時間でしたら、大きな問題はありません。ただし、フライパンの中で一晩以上保存することを定期的に行うのは、避けるのが無難です。とくに、塩分が強い料理の長期間保存に使っていると、フッ素樹脂加工の表面にある目に見えない小さな穴から塩分が染み込み、下地の金属を腐食させてサビになってしまいます。その結果、フッ素樹脂が浮き上がり、はがれる原因になってしまうのです」
「コーティング系フライパン」を長持ちさせるコツとは?
フライパンの寿命を縮める“うっかり行為”を避けつつ、長く快適に使うためには、普段から意識したい使い方や洗い方のコツもあるようです。
・急激な温度上昇が起こらないように、中火以下で使用する
・急激な温度変化を抑えるため、フライパンに大さじ1程度の油を入れてから点火する
・傷がつかないように、調理には木や樹脂などのツールを使う
・急激な温度変化を避けるため、火を止めて1~2分ほど経ってから洗う
・急冷を避けるためにお湯を使う
・加工を傷めないように、やわらかいスポンジと中性洗剤を使う
ちなみに、フライパンの外面も汚れが残らないように、同様にやわらかいスポンジと中性洗剤、湯で必ず洗うことを河村さんは推奨します。スチールたわしや磨き粉はNGです。
「フライパンが完全に冷め切らないうちに汚れを落としましょう。外面が汚れたまま使用を続けると、付着した汚れが加熱されることで焼きついて炭化し、こびりついて、汚れが取れにくくなってしまいます。炭化してこびりついた汚れを落とすのは、非常に困難です。調理後は、汚れが残らないよう外面もしっかり洗ってください」
フッ素樹脂加工など「コーティング系フライパン」を使う際、使い勝手がいいので、扱い方がつい我流になるかもしれません。それが原因で、フライパンの寿命を縮めることも。長持ちさせるためのNGポイントや日頃のコツなどを心に留めて、できるだけ長く大切に使いたいですね。
金属加工の産地として有名な新潟県燕市に本社をかまえる、1951年創業の老舗キッチン用品メーカー。フライパンや卵焼き器、鍋といった定番調理器具に始まり、ステンレスボトルや調理家電まで幅広く扱っている。また、猫がモチーフのキッチンシリーズ「にゃんこれ」や「魚焼きグリル活用パン」のように、ユニークで便利なアイデア商品も数多く開発。
公式サイト:https://www.wahei.co.jp
(Hint-Pot編集部)