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愛犬と同伴出勤可能に オフィスは柵やケージなしのドッグラン 導入に至ったきっかけとは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

夢の「わんちゃんオフィス」を実現【写真提供:株式会社オモヤ】
夢の「わんちゃんオフィス」を実現【写真提供:株式会社オモヤ】

 大好きな愛犬と、会社で働いている間も一緒にいられたら――? 愛犬家ならきっと誰でも一度は思い浮かべたことがある、そんな素敵なシーンを実現させた会社があります。EC事業を行う株式会社オモヤが運営するドッグフードブランド「コノコトトモニ」事業部は、2024年12月から愛犬と出勤可能な「わんちゃんオフィス」の運用をスタート。なんともうらやましいこの取り組みが始まるに至った経緯をお聞きしました。

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一緒にいるからこそ“気づけること”がある

 社員の約9割が愛犬家という「コノコトトモニ」事業部。この冬から、まさしく“わんちゃん好きの、わんちゃん好きによる、わんちゃん好きのための改革”が行われます。その名も「わんちゃんオフィス」。愛犬と一緒に出社でき、仕事の間もずっと愛犬と過ごすことができるという、愛犬家にとってはまるで夢のようなオフィスです。

 欧米では、コロナ禍をきっかけにペットと同伴できる企業が増加。ハーバード・ビジネス・レビュー、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、シンガポール国立大学による共同研究によると、ペットを受け入れることで職場の幸福度が高まるだけでなく、社員の採用や定着率にも影響を与えていると発表されています。

 日本でも、ベンチャー企業やカフェ、美容院といったオフィスでペットを見かけることが増えました。しかし、多くの社員を抱える企業がこうしたオフィスをかまえることは、まだまだ珍しい状況にあります。

物件探しにも四苦八苦

「わんちゃんオフィス」内【写真提供:株式会社オモヤ】
「わんちゃんオフィス」内【写真提供:株式会社オモヤ】

 そうしたなか、「わんちゃんオフィス」の設置を推進する立役者となったのが、「コノコトトモニ」の中馬愛さんです。

 中馬さんは「人とわんちゃんが共生しやすい社会作り」を目指して、まずできることとして「環境を作りたい!」と思い、第一歩として今回のオフィスを作りました。

 中馬さん自身も愛犬と一緒に暮らしており、日中の長い時間、“ひとり”でお留守番させていることを心苦しく思っていたといいます。また、将来、愛犬に介護が必要になった際に、果たしてこれまで通りに仕事ができるのかという不安がありました。

「一緒に出社することができれば、飼い主としても安心できますし、わんちゃんと一緒に過ごすことで新しいアイデアが生まれるのではないかと考えました。もちろん愛犬にとっても、ほかのわんちゃんたちと交流ができ刺激になります」

 こうして愛犬家の社員が一丸となって交渉することに。しかし、実現に至るまでには、さまざまな困難があったそう。最初の壁は、ペット可の物件が見つからないということでした。

「日本にはそもそもペット可の物件が少ないのですが、オフィスとなるとさらに難関でした。ほとんどの物件が『ペットNG』を掲げています。オフィスである以上、広さや社員の利便性などは絶対に譲れません。あまりにも見つからないため『ビルごと買ったほうがいいのでは?』なんて意見も上がったくらいでした」

 それでも根気強く探し続けた中馬さんたち。構想から1年近くを経て、ようやく見つけたのが、12月にオープンするオフィスです。なんと、ペット同伴可能なオフィスとしては九州最大級の広さ(約178坪)を誇ります。物件のオーナーに確認したところ、快くOKをしてくれました。