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「なんのために支払っているかが曖昧」 アメリカのクリスマスに届く“不幸の手紙” 日本人男性が首をかしげる慣習とは
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もうすぐクリスマス。アメリカではチキンではなくターキーを食べるなど、さまざまな違いがありますが、日本人が驚く文化はまだあるようです。妻の海外赴任に伴い、アメリカ・ニューヨークで駐在夫、いわゆる「駐夫(ちゅうおっと)」になった編集者のユキさん。この連載では「駐夫」としての現地での生活や、海外から見た日本の姿を紹介します。第19回は、アメリカのチップ文化についてです。
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クリスマスに届く“不幸の手紙”
12月のある日、マンションの管理会社から封書が届きました。スタイリッシュでおしゃれな封筒に入れられています。
それを見て、またこの季節になったのかと、少し憂鬱な気持ちになりました。
こちらに来た当初、同じ時期にこの封書を受け取りました。開封する前は、きっとクリスマスカードが入っているのだろうと思っていたのです。
封を開けてみると、確かにクリスマスカードが入っているのですが、それだけではなく、名前の書かれたリストが入っています。ドアマンやハンディマン(マンションの設備の修理や、メンテナンスを行う人)、ポーターなど、何人かは直接やりとりしたことがあるマンションのスタッフです。
これは、ここに名前が挙がっている人に「クリスマスにチップを渡してくださいね」というリストなのです。
チップは管理人にまとめて渡すことが一般的なのですが、金額については役割ごとに違います。管理人には200~300ドル(約3万~4万5000円)、ドアマンには50~100ドル(約7500~1万5000円)など、居住地やマンションによっても違ってくるのですが、ある程度の目安があります。
大規模なマンションだと、スタッフの人数は50名近くにもなります。私の自宅マンションは20名程度なのですが、金額を低めに見積もっても1500ドル(約22万2500円)以上かかる計算です。これが年末の物入りな時期に、ホリデーチップとして消えていきます。
確かに、備品の調子が悪いとき、連絡すれば駆けつけくれるハンディマンなどには、日頃からお世話になっているので(その都度、チップは渡しています)感謝の気持ちを込めてというのは理解できます。しかし、初めてこの封書を受け取って以来、我が家ではこれをクリスマスに届く“不幸の手紙”と呼んでいます。
そういえば、12月になると、急にスタッフの愛想が良くなります。ドアマンはいつも以上に積極的にドアを開けるようになり、日頃はまったくあいさつをしないスタッフまでこちらに声をかけてくるから、調子がいいものです。