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大雨などのトラブルで新幹線が運休や遅延 京都から品川まで「約11時間」かかった人の行動とは
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台風ほかで事前に発表 計画運休する際の判断基準
台風などのケースでは、計画運休が行われることもあります。担当者さんによると、運転規制などと同じく「お客様の安全を確保することが第一」を前提に、多角的に情報を分析しているそう。
「途中で列車が立ち往生するのは望ましくないため、そのときどきの情報を収集し、可能な限り早くご案内を行い、安全に運行することを基本としています。そうした考え方を基に、台風の接近などに伴い列車への影響が見込まれる場合、以下の3つの状況を総合的に勘案し、計画運休の有無や区間を協議・決定する形です」
1. 日本気象協会等の専門機関より入手した気象情報を基に影響が想定される範囲(台風の大きさ・雨量・風速・進路)
2. 駅で多くのお客様が滞留するリスク(空港と違いお客様が長時間退避できる場所がもともと少ない)
3. 駅間で列車が止まり、長時間足止めをさせてしまうリスクなど
また、降雨に対するほか、地震といった自然災害発生時に備える取り組みも強化されているといいます。
「新型車両のN700Sでは、地震時のブレーキ距離をN700Aタイプより5%短縮し、安全性をさらに向上させました。さらに異常時の対応力強化の面では、バッテリー自走システムを搭載することで、橋梁やトンネル内で停止してしまった場合でも、自力走行で安全な場所まで移動します」
「まず確保したのは食べ物と飲み物」 利用者ができる工夫
走行区間の補強工事といった設備の強化、車両性能の向上。自然災害などに対しては、総合的な分析による判断と、利用者の利便性を考慮した早めのアナウンスのほか、安全を第一に多くの対応がされているとわかりました。
一方、利用者の立場で運休や大幅な遅延に遭遇した際、できる工夫はあるのでしょうか。実際に長時間の移動を経験した晴美さんが、自身の対応を語ってくれました。
「ダイヤが乱れるとのアナウンスを早めに聞き、まず確保したのは、食べ物と多めの飲み物です。臨時ダイヤで座席が確保できない可能性も考え、立ったまま食べられるものを。そんな状況でも京都らしさを楽しみたくて、柿の葉寿司を選びました(笑)」
また、情報収集を続けることが、最適な判断やルート選択に欠かせなかったと話します。停車する駅周辺のホテルの空室情報、遅延によって変化していく乗り継ぎルートも、ネットで確認し続けました。
「ただ、ネットだけでなく、乗り継ぎ地点では駅員さんや周囲の人とのコミュニケーションも、とても大切でしたね」
途中、在来線で移動したほうが早く到着できるルートを確認していた晴美さん。乗り継ぐことになった駅で、運行状況を駅員に確認しているのを近くで聞いていた女性が、話しかけてきたそうです。「情報を共有して、一緒に行動することに。どちらも女性ひとりだったので、心強さを覚えました」と話し、女性と交わした会話を明かしました。
「困ったときはお互い様なのに、駅員さんに怒りをぶつける人がいたね……と。でも、絶対に一番、定刻通りに運行したくて困っているのは、駅員さんです。
大幅な遅れはありましたが、鉄道会社が夜を徹して対応してくれるおかげで安全に移動できている――そのことへの感謝で盛り上がりました。ウェブサイトやSNSなどで、リアルタイムに反映される公式情報が確認できる時代。怒るより、正しい情報をチェックして次のプランを考えるほうが、効率がいいですよね」
天候などで、予定通りに事が運ばないケースはあるもの。もしものときは身の安全を優先し、冷静に行動したいですね。
(Hint-Pot編集部)