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「逆に何かあるのかとちょっと不安に」 フランス在住の日本人女性が“逆カルチャーショック”を受けたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

乾杯では目を合わせるのがフランスの習慣(写真はイメージ)【写真:Getty Images】
乾杯では目を合わせるのがフランスの習慣(写真はイメージ)【写真:Getty Images】

 海外の人とコミュニケーションを取る際に大切だといわれている、あいさつやアイコンタクト。苦手だと感じている日本人は、少なくないかもしれません。しかし、海外暮らしが長くなると、日本でのこうしたコミュニケーションの少なさに“逆カルチャーショック”を受けることもあるようです。ひょんなことからイギリスに移住、就職し、海外在住歴7年を超えたMoyoさんが外国暮らしのリアルを綴るこの連載。第53回は、日本で“逆カルチャーショック”を受けたあいさつのマナーについて紹介します。

 ◇ ◇ ◇

大切なのは、目を見たコミュニケーション

 前回、イギリスやフランスで暮らし始めて驚いたことのひとつとして、スーパーマーケットやカフェなどでは知らない人にもあいさつをするのが当たり前だと紹介しました。その際に「Thank you(ありがとう)」や「Bonjour(こんにちは)」などと形式ばって言うだけでいいかといえば、実は言葉だけの問題ではありません。

 相手の目をしっかり見て言葉を伝えることが重要です。とくにフランスへ移住してからは、至るところで、相手の目をしっかり見てあいさつすることが多くなりました。

 でも、やはり慣れていないと少し困りますよね。どこを見てあいさつすればいいのかわからない、複数人いる場合は誰の目を見ればいいかわからないと思うかもしれません。しかし、答えは簡単です。その場にいる人全員の目元あたりをさっと見渡しながらあいさつしましょう。

 さらに、日本と大きく違って一番おもしろいなと感じるのが、乾杯のとき。ここでも視線は重要です。フランスでは、相手の目をじっと見ながら「乾杯」とグラスを当てるスタイル。このしきたりの始まりは、中世にさかのぼります。もともとは乾杯する相手に「毒が入っていませんよ、私は信頼できる人物ですよ」と伝える意味合いだったそうです。

日本での乾杯の習慣と違うことに最初は驚く【写真:Moyo】
日本での乾杯の習慣と違うことに最初は驚く【写真:Moyo】

 そんな習慣に慣れてしまうと、日本の知り合いと飲む際、逆に目を見ないようにしなければと意識するようになりました。日本では、目をじっと合わせるのは挑発的な態度として受け取られ、失礼なこととされています。そのため、むしろ視線を合わせないほうがその場も自然に収まります。

 日本で乾杯する場合、どうしていたっけと思いながら周囲を観察していると、だいたいの目線はグラスの先に集中しているようです。そんな習慣が普通のなか、相手の目をじっくり見つめながら「乾杯」なんて言われたら、逆に何かあるのかとちょっと不安に思ってしまいますよね(恋人同士では視線を交わすかもしれませんが……)。