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「逆に何かあるのかとちょっと不安に」 フランス在住の日本人女性が“逆カルチャーショック”を受けたこととは

公開日:  /  更新日:

著者:Moyo

日本の少し寂しい光景

 ほかにも、日本で“逆カルチャーショック”を受けたのが、コンビニエンスストアやスーパーマーケットなどでの買い物でのやりとりです。海外移住するまでは普通だと思っていましたが、お店の人が「いらっしゃいませ」「こちらお預かりします」「こちらで○○円になります」「クレジットカードでのお支払いですね」「ポイントカードはお持ちではありませんか?」「お預かりします」「おつりの○○円のお渡しです」「ありがとうございました」とずっと一方的にしゃべっている一方で、お客さんは首を縦や横に振るだけで済ませて、ひと言も話さず完結している場合の多いこと。

 極端なケースでは、まったく視線を合わせず、うつむいたまま無言でさっと買いたいものを出して、お金を払ってそそくさと退散……ということが多いと感じます。

 そういった視点で観察すると、バスでも似たような光景が。運賃を支払う「ピッ」というカード音が立て続けに鳴り、それに合わせて「ありがとうございます」と繰り返す運転手さんの声が、静かな車内に響き渡るのが普通ではないでしょうか。レストランで食事が運ばれてきても、とくに何も言わずに終わってしまうことがありますよね。

マーケットでもあいさつで始まり、あいさつで終わる【写真:Moyo】
マーケットでもあいさつで始まり、あいさつで終わる【写真:Moyo】

 以前も書きましたが、ヨーロッパではサービスを受ける側も出す側も対等である意識が強いため、客側からあいさつをするのは至極当たり前です。いい部分と悪い部分がそれぞれありますが、あいさつで始まってあいさつで終えると、いろいろと気持ちがいいことは確かでしょう。

 つい先日も、ブーランジェリーでのお会計時に「レシートください」と伝えて、向こうも「OK」と言ったのに機械の操作を間違えたらしく、うまく出てこず。「レシート欲しいなら先に言ってよね」とブツブツ文句を言われましたが、最後はお互いにあいさつをし、さっぱりと締めました。

 店員側のミスで文句を言われること自体、日本ではあまり考えられないことかもしれません。しかし、人間同士のコミュニケーションですから、あいさつさえきちんとすれば丸く収まることも少なくないでしょう。そんなことが起こらないであろう日本の光景が少しいびつに、そして寂しく思えてしまうのも事実です。

(Moyo)

Moyo(モヨ)

新卒採用で日本の出版社に入社するも、心身ともに疲弊し20代後半にノープランで退職。それまでの海外経験は数度の旅行程度だったが、イギリスへ語学留学ののち移住した。そのまま、あれよあれよと7年の月日が経ち、現在はフランスに在住。ライター、エディター、翻訳家、コンサルタントとして活動している。最近ようやくチーズのおいしさに少し目覚める。