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「子どもの気持ちを聞いてあげて」 バイオリンが上達しない小学2年生、心配する母親…ベテラン講師がレッスンを「お断り」したワケ
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「やりたくない習い事をいくつも続けることは、子どもの心を潰してしまうのではないかと思います」
あっぴ先生は、3歳から70代まで700人以上の指導実績があり、特に初心者や再開者へ向けた基礎スキルの定着に力を入れているそうです。2023年から上達せず悩んでいる人の役に立ちたいとXでの発信を続けています。改めて当時の決断について聞きました。
「あの時の対応はどうだったのかと振り返った時に、自分の中で答えが見つからなかったので、Xでいろんな方の意見を聞いてみたいと思いました」と投稿意図を教えてくれました。
「もちろんレッスンに通っていただくこともできたのですが、お子さんが小学2年生となると、今本人にやりたい気持ちがないのなら、私がバイオリンや音楽の楽しさを伝えることは難しいのかなと考えました。
これは直接伺ってはいませんが、4歳から始めているので、おそらくお母さんに『やってみたら?』と言われて、始めたのではないかと思います。3、4歳くらいだと、自分の意思というよりお母さんやお父さんの声かけで、とりあえず始めてみるというケースはよくあります。
また、バイオリンをやめたり、一度お休みすることで彼がサッカーをするチャンスにつながればいいなという思いもありました」。子ども本人の希望を優先させてあげたい――。これがあっぴ先生の本心です。実際に定期レッスンを断るという決断にもつながりました。
小さいうちからより多くの経験をさせて、豊かな感性の人間に育ってほしい。親心としては、どうしても子どもの習い事に熱を入れてしまう側面はあります。親側の気持ちもよく分かります。あっぴ先生は「確かにこの男の子の習い事は多すぎるなと感じます。実際Xのポストを見ていただいた方からは『虐待ではないか』というお声もありました。でも、私はこのお母さんからお子さんに対する愛情も感じました。なんでも経験させてあげたいという思いがあったのではないでしょうか」と話します。
自身も子育てをしているからこそより強く思うこともあるといい、「とはいえ、忙しすぎる毎日や、やりたくない習い事をいくつも続けることは、子どもの心を潰してしまうのではないかと思います。そして、子どもの人生は子どものものです。
私にも2人の小さな子どもがいますが、きっかけをつくってあげたり、やりたいことをサポートしてあげるのが親の務めだと考えています。私自身も、バイオリンしか習い事をしませんでしたが、だからこそ今この仕事ができるほどに打ち込めましたし、好きだったからこそ続けられました。
この時出会った男の子は、自分の気持ちを表現できるすてきなお子さんなので、ぜひお子さんの今の生活や人生についてご家族で一度話し合ってもらえたらと思いました」と実感を込めます。
大事になってくるのは、双方向のコミュニケーション。“親の押し付け”にならないように気を付けたいものです。できる限り親子の会話を通して、お子さんにとって無理なく、楽しく、習い事に通っていきたいですね。
(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)