仕事・人生
予約ゼロにシェフは不在…パリで日本人女性経営のレストラン 一つ星獲得までの困難
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ふたりで作る器が料理の発想を広げる
料理に使う器は、すべてふたりで作った和のテイストの焼き物。土を練り、形作る作業は、料理人・菓子職人であるふたりにとってなじみのある仕事でもあります。
「プロではないので、同じ器を二度作れない」という杉山さんですが、それも魅力的な個性になっています。
飴細工のデザートをのせた白いお皿は、真珠貝をイメージして制作。器ができてから合わせるデザートを作ることもあれば、料理が先にあり、どんな器が合うか考えることもあります。自分たちで器を作るようになってからは、より自由な発想で料理を生み出すことができるようになったそうです。
「陶芸は昔からやってみたかったのですが、なかなか時間がなくて実現しませんでした。コロナ禍でロックダウンになり、暇だったので始めてみたら楽しくて。今は、お店の器はすべてふたりで作っています。YouTubeを観る程度の独学なので、どの釉薬(うわぐすり)をかけて焼くと何色に仕上がるのか、まだわからないレベルです(笑)」
アクセントがある料理とデザートを
店名の「Accents(アクサン)」は、日本語でアクセントのことです。アクセントは、その人の故郷やストーリーを物語るもの。どこからやってきた食材で、誰が調理したか、どんな一皿を食べているのか。そんな一つひとつの異なるアクセントを感じる料理が、この店の持ち味です。
「料理を楽しんで、最後に思い出に残る。そんな味わい方をしてもらいたい」
お客様に、驚きや発見を感じてもらえるような、料理とデザートにも「アクセント」があるものにしたいと名づけたそうです。
次に目指すのは二つ星獲得。2025年秋には料理本もフランスで出版予定です。杉山さんとロマンシェフの挑戦はまだまだ続きます。
(Miki D’Angelo Yamashita)

Miki D’Angelo Yamashita
コロンビア大学大学院国際政治学修士、パリ政治学院欧州政治学修士。新聞社にて、新聞記者、雑誌編集記者、書籍編集として勤務。外信部、ニューヨーク支局、パリ支局、文化部、書籍編集部、週刊誌にて、国際情勢、文化一般を取材執筆。