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「あれ、私です」 32万“いいね”集めた振袖でスノーボード女性 2年後の投稿に絶賛続出のワケ
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「振袖スノーボードでバズってしまったときは…」

杜野さんは、「卒業制作に対して、振袖の人だ! と覚えていただいたので、うれしいなと思って写真をポストしました」と投稿した理由を明かします。
2年前の成人の日、長野県上田市の番所ケ原スキー場で仲間たちとスノーボードを楽しみ、32万件もの“いいね”を集めた動画は、趣味のコスプレ用のアカウントに投稿したものでした。
「事情があり、成人式に行かなかったので、成人の日に振袖を着て、高校からずっと頑張ってきたスノーボードで滑りました。振袖スノーボードでバズってしまったときは、周りのみんなにコスプレがバレてしまって大変でしたが、今は開き直って学校のイベントでコスプレをしています(笑)」
当時、杜野さんが使っていたのは、卒業制作で作ったのとは別の板。「痛板という、痛車のウィンタースポーツ版で、オタクの板です」とのことで、趣味を反映したデザインです。
今回の投稿をきっかけに、作品への注目が集まっています。「欲しい」「制作依頼したい」といった声が多いことに、「本当にうれしい」と杜野さん。「雪中用漆具三式」の制作では、主に3つのこだわりを持って作ったそうです。
1つめはデザイン。「多くの価値観の人々により広く受け入れてもらいたい」との考えから、まったく違う3種類のデザインで制作しました。2つめはクオリティ。「私の作品は工芸品としてはかなり異端で巨大な作品」だと杜野さんはいいます。だからこそ、質の高さにこだわります。
「変なものを作って、中途半端な出来と言われるのが一番かっこ悪いと思います。工芸としてのクオリティを落とすことがないよう制作することには、かなり努力しました」
そして3つめは、話題の投稿で「ちゃんとウィンタースポーツしてるからこそ」と綴った実用性。「漆芸で一番いいと感じるところは、使って手に馴染み、段々と美しくなっていくのが素晴らしい」と目を輝かせる杜野さんは、実際に自身が滑ることを前提に制作しているといいます。
「どの板も、雪の上で映えることを計算し作りました。ぜひ滑るところをイメージしながら、見ていただきたいです」
「感無量で、ずっと宙に浮いているようです」
3種類のデザインごとに、大きなこだわりポイントを紹介してくれるほど、力の入った作品を仕上げた杜野さん。たくさんの反響が寄せられ、とても驚いているそうですが、喜びも大きいようです。
「今まで頑張ってきた、すべてのことが噛み合ってできた、私の今のすべてをぶつけた作品が、いいと言ってもらえることは、何より幸せなこと。感無量で、ずっと宙に浮いているようです。私は、工芸の賞に入ることを目標に制作していたのではなく、工芸に関心のない人に『欲しい』と言っていただけることを目標に、ずっと制作をしてきました。それが、こんなに早く叶うなんて本当に思っていませんでした。努力が報われた気持ちです」
キャンプや自転車、登山ほか、多趣味だという杜野さん。それぞれの趣味で、漆芸で作ってみたいものが、たくさんあるといいます。とりわけ、スノーボードの漆芸の痛板が一番だと話し、「初音ミクの螺鈿でキラキラのスノーボードを作りたいですね。絶対かっこいい」と笑顔に。
これからも個性的で、素敵な作品が見られるのが、楽しみですね。
(Hint-Pot編集部)