カルチャー
「ウクライナでは混乱することが多い」 日本企業に勤めるウクライナ人女性 駅で感動した光景とは
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世界でも珍しい文化や言語を持つ日本。ネイティブな日本人には当たり前に感じることでも、来日した外国人には「なぜ!?」と驚かれることがあります。戦禍のただなかにある祖国から来日したウクライナ人女性が驚いたのは、どんなことだったのでしょうか。総合建設コンサルタント会社、八千代エンジニヤリング株式会社で働くエリザベータさんに、日本での暮らしぶりについてお聞きしました。
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ジブリアニメで観た「日本」に興味津々
言語に興味があり、ウクライナ語のほかにロシア語、英語、そして日本語の4か国語が話せるクァドリンガルのエリザベータさん。日本在住歴は3年になります。日本に興味を持ったきっかけは、幼い頃、家族とともに観たジブリ映画『千と千尋の神隠し』でした。
「今まで接してきた世界観とまるで違いました。温泉や着物、不思議な生き物……日本ならではの文化に、家族そろって驚き、日本ってすごい! と思ったのを覚えています」
成長とともにアニメを観る機会は減ったものの、日本文化への興味は消えることはありませんでした。そこで、ウクライナ国立キーウ大学へ進学するにあたり、選択肢の1つに日本語学科を加えたのです。
「私は、自分がやりたくないことはやらないタイプ。日本語は漢字、ひらがな、カタカナなどがあり難しいけれど、なんとなく『やれるかな?』って思ったんです」
今では日本語能力試験N1を取得し、日常会話はお手の物。さまざまな日本の映像作品も鑑賞しており、『菊次郎の夏』や『時をかける少女』、『大豆田とわ子と三人の元夫』など、邦画やアニメ、ドラマなどジャンルを問わず楽しんでいるのだとか。
しかし、それでも敬語はやはり難しいそう。メールは送信する前に翻訳ツールを利用すればいいものの、口頭でのやりとりにはまだまだ勉強が必要だと感じています。
規則正しく移動 日本人のマナーにも驚き
実は、日本へ来ることは決めていなかったというエリザベータさん。しかし、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で、大学4年生のときに急遽、福岡県にある日本経済大学へ留学することにしました。
急な移住で、戸惑ったことがさぞかし多かっただろうと想像しますが、大学では日本語だけでなく、日本の文化についても教わっていました。そのため、大きなカルチャーショックはなかったといいます。そんなエリザベータさんでも、来日当初にはとても驚いたことがありました。
「駅や公園、建物内などのパブリックスペースが静かなことに、とても驚きました。もちろん、新宿や渋谷など騒々しい街もありますが、だいたいの場所はとても静かですよね。とても日本らしいです」
ウクライナではたとえ公共の場であっても、大声で話をしたり、電話をしたりする人が多く、ガヤガヤと騒々しいのが普通だといいます。エリザベータさんは、日本の静けさに驚くとともに、好感を抱きました。
また、人々の移動が整理されている点も、エリザベータさんが驚いたことの1つでした。
「たとえば、駅。階段や通路が、上り・下りと指定されていたり、通路が左側通行になっていたり、そしてそれを多くの方が従っていますよね。ああいったことは、ウクライナでは行われていないので『すごい!』と思いました。ウクライナでは人々が入り混じって動くので、混乱することが多いんです」