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「魂売ったの?」 電子レンジを“禁じ手”にしてきた女性料理家が一変 きっかけは料理自慢だった母の涙

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・吉原 知也

「『友達が多いほどいい』という呪縛にとらわれていた」

 山脇さんは、老後を見据えて50代から、自分だけで行動する「ひとりの練習」を積み重ねてきました。孤独ではなく、1人で過ごす時間も大切に、気ままに好きなように歩く「ひとり旅」を満喫しているそうです。

「還暦間近の同世代の女性は、子どもや家族の世話が大変で、なかなか1人になる機会がなかった方が多いのかなと思っています。以前本を書いた際に、いろいろなお手紙をいただきました。すごく多かったのが、『1人でどこにも行ったことがない』という声でした。『これまでは家族旅行で子どもを連れて行っているつもりだったけど、ひとり旅を今やってみようと考えた時に、1人で行けなかったのは自分だったと気付いた』という話もお聞きしましたし、『ひとり旅を始めてみたけど全部日帰り。今年は泊まることに挑戦します』という方もいました。まずは1人で映画を見に行ったり、コンサートや美術館に足を運んだり。私はそこから始めました。“もしかしたら、1人で暮らすことになるかもしれない”という将来に備えて、練習を始めてみる。それに、1人でも楽しく生きていける人同士が一緒にいられたらいいな、と思うので」。これが山脇さん流です。

 人付き合いに関しても、山脇さんは「『友達が多いほどいい』という呪縛にとらわれていた」と新著に記しています。今回お聞きしたメッセージは「一緒にいて心が休まる、いろんな話ができて本当に楽しいと思える人とだけ過ごせればいいな。そう思っています」。友達の数だけに固執せず、人間関係も無理しない。その考え方に救われる人は多いのではないでしょうか。

 文豪や著名人が老いについて綴った書籍を読み、先人たちの姿勢からも学んできたという山脇さん。準備万端で迎える還暦に向けて、「顔つき」をキーワードに掲げます。

「正直なところ、年をとることはまあそんなに楽しくはないですよね。思うようにできないことが増えてきてしまいます。そこに丸腰で臨むのはちょっと自信が持てず、備えを重ねてきました。できるだけ気持ちよく、いい顔つきでいたいです。大切な家族や友達、1番近い人にできるだけ機嫌よく、みんなにもニコニコしている。そんないい顔つきのいいおばあちゃんになりたい。そんなふうに思っています」。優しい笑顔で結びました。

◇山脇りこ(やまわき・りこ)
料理家としてNHK「きょうの料理」などのテレビ番組や新聞・雑誌で、旬を大切にしたシンプルな手順で作りやすいレシピを提案。著作も多数で、旅のガイドブック『食べて笑って歩いて好きになる 大人のごほうび台湾』(ぴあ)など台湾3部作もある。ひとり旅の楽しさを綴った『50歳からのごきげんひとり旅』(大和書房)がベストセラーになり、文筆家としても活躍の場を広げている。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム・吉原 知也)