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妻がベンチャー企業の取締役になり夫婦間に亀裂が 夫から「やめとけば良かったんだ」と当たられるように 夫婦カウンセラーがアドバイス

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

共働き夫婦はとくに「婚前契約」を取り交わすのがおすすめ

 夫婦カウンセラーの原嶋めぐみさんによると、転職がきっかけで夫婦関係が変化するのは、珍しいことではないそうです。仕事をする時間は、生活の大部分を占めます。とくに共働き夫婦の場合は、どちらかが時間の融通が利く仕事でない限り、すれ違いが増えてしまう可能性が高いでしょう。そのため、夫婦で優先順位をすり合わせおく必要があると、原嶋さんは言います。

「転職の相談をしたときの夫の反応が薄いことが気になりました。新しい会社について、どの程度伝えていたのでしょうか。夫婦間といえど、仕事と同じで“報連相”(報告・連絡・相談)はとても大切です。もし会社が立ちいかなくなった場合、絢乃さんが負債を抱える可能性はないのか、職を失った場合は生活費の負担割合をどうするのかなどまで話し合ってから、転職を決めたのでしょうか」

 夫は絢乃さんの転職先のイメージが思い浮かばず、これまで通りの生活を続けていけると思っていたのかもしれません。

「夫の優先順位が高かったのは金銭面だったのか、それとも絢乃さんと過ごす時間だったのか、その両方だったのかはわかりません。しかし、事前の相談が足りなかったせいで、騙されたような気持ちになってしまった可能性もあると思います」

 原嶋さんは、こうした夫婦間でのすれ違いを避けるためにも、結婚前に婚前契約書を作成しておくことをおすすめしています。

「婚前契約というのは、夫婦が結婚後の財産関係のことから日常生活のルールまで、さまざまなことをあらかじめ決めておくことです。面倒くさいと感じるかもしれませんが、契約を交わしておくことで、のちのちのトラブルを防ぐことができます」

・給与からいくらずつ家計に入れ、やりくりするか
・家事分担はどうするか
・子どもができて妻が働けなくなった際、どのように家計を捻出するか
・親世代が要介護になった際はどうするか
・離婚時の財産分与や、子どもの親権について
・どちらかがけがや病気になって稼げなくなったり、家事分担ができなくなったりした際はどうするか

 こうした、あとからトラブルに発展しそうなことについてあらかじめ細かく協議し、契約を交わします。そうすることで、夫婦間の気持ちが引き締まり、夫婦関係がスムーズになることも多いそう。作成のなかで、相手が大切にしていることなどの考えを知ることができ、価値観のすり合わせに有効です。

「法律事務所で契約を取り交わすのが一番ですが、費用がかかるので、パートナーにきちんと理解してもらうことが大切です。お金の話などをするので、伝え方を間違えると相手が嫌がる可能性もあることには注意しましょう」

(和栗 恵)