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「サムライロード」として海外からの脚光を浴びる中山道 外国人観光客を魅了するワケとは
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江戸時代より歴史を紡ぐ中山道が、海外から注目を浴びています。かつて江戸(現在の東京)と京都を結んだ街道のひとつであり、とくに岐阜・東美濃地域には、当時の面影を残す宿場町や旅人の歩いた石畳が、今も一部に残っています。足を踏み入れると、まるで数百年の時を超えた旅のよう。豊かな自然と昔ながらの風情が感じられる日本の原風景に、心を奪われる外国人が後を絶ちません。中山道の魅力に迫りました。
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海外では「サムライロード」「サムライトレイル」として人気
中山道は東京・日本橋を起点とする五街道のひとつで、京都・三条大橋までをつなぐ全長約530キロの街道です。江戸時代に整備され、現在の埼玉県、群馬県、長野県、岐阜県、滋賀県の内陸部を通り、69の宿場町が設けられていました。なかでも海外からの注目が高いのが、岐阜県の東美濃地域。当時の面影を残した建物や宿場、さらに豊かな自然も満喫できる景色が、他地域よりも色濃く残っています。
このエリアが海外で脚光を浴び始めたのは2016年頃、イギリスの公共放送BBCに取り上げられたのがきっかけとされています。以来、「サムライロード」や「サムライトレイル」として外国人観光客の関心が高まりました。
そうした影響もあり、実際に中山道を自分の足で歩く外国人観光客が増え続けています。リュックを背負い、スティックを手に石畳を進む姿も珍しくありません。点在する史跡をめぐり、江戸時代の旅人と同じ目線で風景を楽しむ体験が、多くの人々を魅了しているのです。
春や秋の行楽シーズンが最もにぎわうそうですが、冬でもたくさんの外国人観光客の姿がありました。中山道を歩きながら、それぞれ思いを馳せている様子です。
宿泊だけにとどまらず、実際に中山道を歩いてめぐる旅が人気

中山道江戸から43番目の宿場町である馬籠宿を歩いていたのは、ニュージーランド出身のステファニーさん。長野県境からすぐ、岐阜県中津川市にある馬籠峠の特徴的な石畳の坂道を、スティックを手に悠々と上っていました。初めて訪れた日本で、友人やツアー会社にすすめられて中山道を歩く旅を選んだそう。1日に約10キロずつを歩いているといいます。
「今はオーストラリアに住んでいるのですが、この豊かな自然は母国のニュージーランドを思い出させます。国が違うので自然の種類も異なりますが、遠くに見える山々、澄んだ清流――すべてがとても美しく感動的です。日本に来たのは初めてですが、『よく見る日本』とは違う日本を見たかったんです」
岐阜県観光国際部の観光資源活用課課長・北村和弘さんは、訪れる外国人観光客について次のように話します。
「アジアからの人たちはツアーバスで宿場町に来ることが多いのですが、ヨーロッパやアメリカ、オーストラリアからの人たちは実際に中山道を歩いてめぐり、宿場町に宿泊することが多いんです」