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昭和に広まっていった「スパゲティ」 その後、「パスタ」呼びが浸透した理由とは 2つの違いを栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

スパゲティとパスタ。昭和の頃は「スパゲティ」と呼んでいたものの、今は「パスタ」と呼ぶ人が多いかもしれません。パスタと呼んだほうがおしゃれだから? それとも何か理由があるのでしょうか。両者の違いなどを、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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パスタの一種がスパゲティ
「パスタ」とは、イタリア料理で使われる小麦粉を原料とし成形した麺類や生地の総称です。一方、「スパゲティ」は、パスタの一種で細長い断面が円形の棒状の麺を指します。たとえば、マカロニも形状が異なるパスタの一種です。
日本では「スパゲティ」と聞くと、ナポリタンやミートソースといった昭和の喫茶店でおなじみのメニューを思い浮かべる人が多いかもしれません。一方、「パスタ」というと、イタリア料理店で提供される料理といったイメージを持つ人も多いでしょう。
そのため、スパゲティがどこか「懐かしい」呼び名で、パスタが今どきの「おしゃれな」呼び方ととらえるケースもあるかもしれません。しかし、厳密にいうと、パスタにはさまざまな種類があるため「パスタ=スパゲティ」とは限りません。
なぜパスタと呼ぶように?
日本にスパゲティを含むパスタが伝わったのは、江戸時代末期~明治とみられ、一般に普及したのは西洋の食文化が流入した1950年代。ナポリタンやミートソースが喫茶店などの定番メニューになり、日本ならではの「スパゲティ文化」が形成されていきました。
1980年代後半になると、日本に本格的なイタリア料理ブームが到来します。「イタめし」と呼ばれ、いわゆるバブル期の外食シーンで大人気に。ペペロンチーノやカルボナーラ、ボンゴレビアンコといった本場のメニューが親しまれるようになりました。
このブームによって、麺もスパゲティだけではなく、平たいリングイネやフェットチーネ、極細のカペッリーニなどが提供されるようになりました。そこで、総称である「パスタ」という呼び方が普及していったと考えられています。
ちなみに、今でも日本で人気のスイーツのひとつ「ティラミス」は、この「イタめし」ブームがきっかけで広まり、イタリアンブームを後押し。オリーブオイルやバルサミコ酢といった、イタリア料理には欠かせない調味料が日本の家庭にも浸透したことも、パスタという呼び名の定着に影響を与えたといえるでしょう。