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撮影タイムや音楽とのペアリングも 3年待ちの予約困難店「食堂とだか」 人気が衰えない理由とは
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複数店舗が数年待ち それでも席数を増やせる店舗を選ばない理由

2022年4月には虎ノ門ヒルズに3店舗目となる「虎ノ門 とだか」をオープン。2024年4月、五反田JPビルディングに4店舗目の「ここにもとだか」ができました。店舗が増えても予約が難しい状況は相変わらずで、「食堂とだか」は3年待ち、「立呑み とだか」(現在は着席スタイル)は2年半~3年、「虎ノ門 とだか」も2年先まで予約が入っています。
現在は月ごとに予約を受け付ける形になりましたが、「ここにもとだか」を開店したときには予約なしの店にしました。同店で「原点回帰したかった」という戸高さん。現在、コースメニューが中心となっている3店舗に対し、かつてのようにアラカルトを軸にやりたい気持ちもあります。
「コースだと決まった品数を用意すればいいですが、アラカルトだと40品くらい準備する必要があって大変。でも好きなんですよ。カウンターメインでライブ感を楽しんでいただくなか、お好きなものを選んでもらったり、好きそうなものをおすすめしたり」
そうした訪れるお客さんと店との関係性を重視する姿勢は、店のスタッフへの任せ方にも表れています。戸高さんが作り上げたレシピを各店でスタッフが作る際、「勝手に変えられていることもある(笑)」とアレンジは任せているそう。
「お客さんと会話しながら、求められているものにするのが正解。お客さんを幸せにして帰ってもらってね……というのが、一番大切にしてほしいことなんです。店だけでなく、どのスタッフも応援してくれる人がいて、なんぼ。ファンを作って、なんぼです」
店舗を増やしても店舗ごとの席数が基本的に少ないのは、お客さんが求めるものをきちんと受け取れるメリットがある様子。さらに「うちは食材の原価率が高いから、家賃とか内装とかに、コストをかけたくないのもありますね(笑)」と、本音も明かしてくれました。
テレビ出演やコラボオファー 「拒む理由がない」

ドラマ「孤独のグルメ」のあとも、「キッチンカー大作戦!」(テレビ朝日)への出演やコンビニエンスストアとのコラボレーションでアイスを開発。名物のひとつである「甘納豆チーズ」を成城石井で商品化し、3月2日から販売を開始しました。
多忙のなかでも、こうしたオファーを受けるのは「来るものは拒まず……というか、拒む理由がないからですね」という戸高さん。そうした経験で得るものがあると戸高さんは考えます。また、自らのノウハウを伝えることにも躊躇はないそうです。
「レシピを公開することも全然かまわないし、実際にスタッフには全部を教えています。ただ、よそのお店などが真似しても、まったく同じにはできないものじゃないですか。だから秘密にする必要もないと思っています」
そんな戸高さんに今後の展開を聞くと、「どこまでも店を広げるというより、スタッフの子たちがみんな食べていけるようにできれば。最後はまた『ひとりでやりたい』って言って、全然違う料理の“ザ・居酒屋”みたいなのが、できたらいいですね(笑)」と楽しそうに結びました。
(Hint-Pot編集部・鍬田 美穂)