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農家の嫁が語る旬野菜「芽キャベツ」 キャベツの赤ちゃんのようでそうではない
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虫も苦手だった東京の“バリキャリ”女子から5年前に茨城の兼業農家に嫁いだこばやしなつみさんが野菜について綴るエッセイです。現在、年間40品種の野菜を育てる小さな農業に励むなっちゃんが、嫁いだ際に自分で育てようと決めていた野菜のひとつが「芽キャベツ」。見た目が愛らしく「憧れ」の野菜だったとか。実はキャベツの赤ちゃんのようでそうではない、ひと株に60~70球も鈴なりに育つ生命力あふれる芽キャベツとは? 冬野菜のお話です。
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見た目はまるで“キャベツのミニチュア版” でも栄養価は高い
ぐっと冬本番の寒さが到来すると、美味しくなるのが冬野菜。寒さに耐えるために、甘みやうま味をしっかり蓄えてくれるからです。なかでも、冬のおもてなし料理にひときわ目を引く野菜として注目したいのが、「芽キャベツ」です。北半球の温帯を原産地の中心としているアブラナ科の野菜のひとつで、キャベツの仲間です。冷涼な気候を好み、マイナス5度でも成育する、寒さに強い野菜である一方で、暑さには弱いため、冬が旬で全国でも一番手に入りやすい季節なのです。お近くのスーパーになければ、直売所などに立ち寄ってみてください。ちなみに「芽キャベツ」の出荷量は静岡県が日本一だそうです。
欧米のレシピ本などに出てくる、その見た目の愛らしさに憧れて、農家に嫁いだ時に自分で育てると決めた野菜のひとつが「芽キャベツ」です。この野菜は、義父母も育てた経験がなかったため、ゼロから調べてみると、実はキャベツの仲間と言っても、“キャベツの赤ちゃん”ではなく、全く別品種ということを知りました。
さらに、キャベツよりも、ビタミンCやビタミンA、カリウムなどの栄養価もかなり高いことがわかっています。特にビタミンCは、キャベツの約4倍で、15歳以上が1日に必要なビタミンC推奨量である100mgは、芽キャベツ約5つで補える計算となります(*)。品種も別物、また小さいほうが栄養価の高い点などで、まるでトマトとミニトマトの関係に似ているなと当時解釈しました。
(*)100gあたりに対する芽キャベツのビタミンC量:110mg(ゆでた場合)