からだ・美容
シニア世代や更年期の急な「日中の眠気」 原因と改善方法を医師が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:樋口 直彦

不意にやってくる「日中の眠気」に困っていませんか。睡眠時間の不足と思いがちですが、それは、ホルモンバランスの変化によるものかもしれません。とくに「シニア世代」や「更年期」の方は、日中や就寝前の習慣が大事だそうです。睡眠について詳しい、樋口直彦医師にお話を伺いました。
◇ ◇ ◇
日中に眠気がやってくる理由とは
シニア世代や更年期の方で、日中、急な眠気に襲われることはありませんか。本来は起きていたくても抗えないほど眠くなったり、昼寝をたっぷりしてしまったりと、日常生活に支障をきたすこともあります。
さまざまな原因が考えられますが、睡眠時間が足りていても、深い睡眠が取れていないと、日中に眠気が残ることがあります。夜間に脳内の覚醒を司る「オレキシン(覚醒ホルモン)」の活動が抑制されず、覚醒モードが続くことで眠りが浅くなり、その結果、日中に眠気がやってくるというものです。
とくに、シニア世代や更年期の方は、加齢やホルモンバランスの変化が睡眠の質に影響し、浅い睡眠が増え、途中覚醒も多くなる傾向にあります。「夜中に何度も起きてしまう」「すっきりと目覚められない」「寝足りない気がする」といった悩みを抱えている方もいるでしょう。
しっかりと深い眠りを得るために実践したい5つのこと
夜間に覚醒モードにならず、しっかりと深い眠りを得るためには、適度な運動や就寝前の習慣の見直しが有効です。今すぐ実践できる5つのポイントを紹介します。
○朝日を浴びる
光刺激によって、セロトニン(精神を安定させる、睡眠時に重要な役割を持つ脳内の神経伝達物質)が分泌されます。その後のメラトニン(寝つきを良くするためのホルモン)生成が整い、オレキシン(覚醒維持に関連した物質)の分泌リズムも正常化します。起床後30分以内の朝日浴がおすすめです。
○昼寝を適度に
昼に20分以内の短時間の睡眠を取ることで、心身を軽くリフレッシュさせながら、夜の睡眠にも良い影響を与えることができます。
一方で、日中に30分以上の深い睡眠を取ってしまうと、脳が「もう十分休んだ」と錯覚し、夜に自然な眠気が訪れにくくなります。その結果、夜間にオレキシンの分泌が過剰になり、眠りが浅くなったり、中途覚醒しやすくなったりすることがあります。
深い眠りを得るためには、昼寝は20分以内にとどめてください。午後3時~4時以降の仮眠は、夜の睡眠に悪影響を及ぼすため避けましょう。
○適度な運動
ウォーキングや軽めの筋トレにより日中の活動量を増やすと、オレキシンの分泌リズムが整い、夜の自然な眠気が促進されます。
○温かい飲み物
ホットミルクやカモミールティーなど、ノンカフェインの温かい飲み物で就寝前にリラックスしましょう。副交感神経を優位にします。夜中の尿意につながらないよう、適量にとどめてください。
○枕や寝具の見直し
体に合った寝具の選定や寝姿勢の改善は、身体的な負担を減らすことでオレキシンの覚醒刺激を抑え、睡眠の深さを向上させる効果が期待できます。