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「年齢を言い訳にするのは本当にもったいない」 元CAが合格率7%の難関突破し公認会計士に 挑戦続けるモチベーションとは
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公認会計士試験に合格も、現在は講師として受講生をサポート

狭き門である公認会計士試験に合格した砂溜さんは現在、実務としての公認会計士ではなく、自らも学んだ「CPA会計学院」で“後輩”を導く講師に。勉強を始めたときから“好きな科目”だったという財務会計論(計算)を教えています。
公認会計士として業務を行うには、原則として3年間の実務経験と、3年間の実務補修、修了考査を受け登録しなければなりません。砂溜さんも実務補修所に通ってはいますが、講師の道を選んだのには理由があります。
そもそも自身の受験は、監査法人などで公認会計士となることを目指したわけではなく、コロナ禍で危機感を覚えたことがきっかけでした。
「ここには『自分自身が学びたい』という人たちが集まっています。今までCAなどお客様をサポートする職種でしたので、講師として合格を目指す受講生のサポートは、今までの経験を生かすことができるのではないかと思ったのです」
もちろん、将来的に公認会計士として業務を行うことも「頭の片隅にはある」という砂溜さん。講師として約3か月が過ぎ、「自分が学んでいたときから、ここで働きたいと思っていましたし、今はすごく楽しい。まずは(講師として)極めたい、少しでも自分が成長したい気持ちでいっぱいです」と、新たに自分を磨く日々は始まったばかりです。
大人になっても挑戦したい 人との接点がモチベーションに
昨今は社会人が学び直す「リスキリング」が広く知られるようになりました。ともすれば他人がうらやむような職務から、あえて難しいハードル越えに挑んだ砂溜さんもそのひとりでしょう。
「基本的には中断したことがないので、航空会社を辞めたのはイレギュラー」と話しますが、思い切った挑戦で見えたのは「人生、いろいろなことがあると感じました。だから、やりたいことをやったほうがいい」ということ。
漠然とした不安を抱えた人、自分を変えたい人、新しいことを知りたい人……学ぶきっかけはそれぞれかもしれません。砂溜さんは「現実問題として、金銭的な問題もあるでしょう。私も貯金を全部つぎ込みました」と正直に打ち明けました。それでも、挑んだことに価値はあったといいます。
「大人になると、そんなに挑戦しなくてもいいという風潮もあるし、子どもと違って褒められることもないかもしれません。でも、大人になって挑戦するのはけっこう楽しいと、自分が感じました。だから、年齢を言い訳にするのは本当にもったいないと思います」
学生時代のアルバイトで接客の楽しさを知り、CAとしてその幅を広げ、今度は公認会計士試験に合格。新たな世界に踏み出しました。「ステージが変わると、そこでしか出会えない人がいる。人との接点が私のモチベーションになっています」と話す砂溜さんの表情は輝いています。
(芳賀 宏)