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「性教育がタブー」なインドで配布した生理用ナプキンは約86万枚 きっかけは東日本大震災 日本人女性が衛生教育活動を続けるワケ
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生理にまつわる正しい知識が十分に広がっていない地域が、今も世界には存在します。南インドの一部では、生理期間に女子学生は学校に通えず、なかには家畜小屋に入れられることもあるそうです。また、多くの少女たちは、生理や妊娠・出産の仕組みを知らないため、初潮で出血があると病気になったと勘違いするケースも。国内外の女性問題の解決に取り組む一般社団法人ガールパワー代表の池内ひろ美さんに、インドでの衛生教育の取り組みや、その思いについて伺いました。
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東日本大震災の支援がきっかけ 女性リーダーの必要性を痛感
池内さんは、2013年に一般社団法人ガールパワーを設立しました。世界中のすべての女性が、女性として生まれたことに誇りを持ち、女性であることを楽しんで生きていける。そんな社会の実現に向けて活動しています。
――池内さんが、一般社団法人ガールパワーを始めたきっかけはなんだったのですか?
「2011年の東日本大震災でのボランティア活動がきっかけです。実は私自身、1995年に起きた阪神・淡路大震災の被災者で、家具の下敷きになりけがを負った経験があります。被災地の状況はイメージできましたので、緊急車両が動く1週間が過ぎてから、何度も現地入りしました。
当時、避難所では男性リーダーが中心だったため、下着や必要な枚数の生理用品が十分に行き渡らず、セクハラ被害があっても相談できる人がいないなど、多くの女性が困っている様子を目の当たりにしました。このままではいけないと、女性リーダーの必要性を強く感じてガールパワーを立ち上げたのです」
インドで性教育はタブー 少女に「正しい知識を伝えたい」
――その後、2018年から、ガールパワーはインドで女子学生に向けて衛生教育の支援をしています。どのような経緯で始めたのですか?
「スタッフの知人がインド支援をしていたことで、現地の少女たちの厳しい状況を知る機会がありました。たとえば、インドでは家庭や学校での性教育がタブーとされ、学ぶ機会もありません。ほとんどの少女たちは、生理や妊娠・出産の仕組みを知らないため、初潮で出血があると、がんになったのかと勘違いする子もいるそうです。生理期間中は学校にも行けなくなり、なかには家畜小屋に入れられてしまうという、ひどい扱いを受けている子もいます。命を生むために必要な生理が忌避されるのは、おかしな話です。
そのようなインドの少女たちの詳細を知るうちに、ガールパワーとして何かできることがあるのではないかと考えました。少女たちが安心して学び、自分の体について正しい知識を持てるように、衛生教育の取り組みを始めたのです。11歳から14歳の女子学生に、布ナプキンの配布と、女性の体についての知識を教える活動を続けています。
インドでは、女性の職業選択の制限が根強く残るなかでも、学びの機会を得て、医師や教師を目指す少女たちがいます。彼女たちが夢を実現させ、女性たちに正しい知識を伝えていけるような社会になれば、将来的にさらに多くの人に伝わっていくでしょう。